目覚めれば暗殺部隊のボス due
九代目に連れてこられた城(本当に城だった)で俺は一人部屋に連れてこられた。そこで目をキラキラさせたメイドさんに、
「さぁ!綺麗にしてさしあげます!」
と物凄い気合を入れて頭から足先まで丸洗い(本当に丸洗いだよ!)された。そしてあれよあれよと着飾られ、髪もいじくられ、出来上がったのはどこの人形だというような自分。前世の姿からすると自分でもびっくりだよ。しかもオプションで黒猫のぬいぐるみを抱かされた・・・黒猫好きだけど!
「では、九代目のところにご案内します。」
そう言って俺を促すメイドさんを見て、・・・もう逃げられない。逃げられないならそれなりにとことん抗って、”原作”なんかぶち壊してやる!
そう心に誓った。
「可愛くなったね。さぁ、お座り。」
「・・・ども。」
九代目の待つ部屋に案内されて、九代目に引き合わされた俺は、今、九代目と向かい合って座らされている。もっそい気まずいてていうか空気が重い・・・!
「さて、まだ君の名前をちゃんと聞いていなかったね。」
「名前なら母さんが言っただろう。俺の名はXANXUSだ。」
そう、俺は”XANXUS”だ。俺は”XANXUS”の居場所を奪った。なら代わりに、と言ったらおこがましいかもしれないが、その役割を自分なりにこなしてやろう(”原作”なんかぶち壊してやるけど)。そう決めたんだ。
「あぁ、だがそれは男の子の名だろう。君の”女の子”としての名は?」
「!」
俺には名前がなかった。俺が炎を燈し、母さんが狂うまで。ただ「無かった」と言うのは語弊があるかもしれない。俺に名前が無いのを見かねた周りの大人が名前をつけてくれた。ちゃんと”女の子”としての名前を。一度も、その名を、母さんに呼んでもらったことは無いけど。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
たっぷり三分。カップラーメンが出来るくらい考えて、俺の「名前」を言う言うことにした。その名前は何の因果か前世と同じ響きだった。
「そうか。か。いい名だね。と呼んでも「俺は、」
それでも俺は、
「俺は”XANXUS”だ。」
”XANXUS”の紅い瞳、”XANXUS”の黒い髪、”XANXUS”の憤怒の炎。そして”XANXUS”の命。全て、俺の中にある。ならば俺が”XANXUS”になる。母となったあの人が俺のことをそう呼んだときから、俺はもう、”XANXUS”なんだ。
そんな俺を見て九代目は少し悲しそうな顔をしたけど結局は、公の場では俺のことは「XANXUS」と呼ぶことにし、九代目や側近、ごく近しい人の前でだけは「」と呼ぶことで決着が付いた。
「さぁ、今日はいろいろあって疲れただろう。ゆっくりお休み。」
「はい。」
椅子から立ち上がると、此処へ連れてきてくれたメイドさんが付いて部屋に戻った。