目覚めれば鬼のお姉ちゃん
「っ!
ち、
千鶴―――――!!
」
「
きゃぁ!
」
幼いころに生き別れになった双子の妹に再会できた感動のあまり号泣しながら抱きついてしまった俺は悪くない。
俺、南雲は前世の記憶がある。そんなことをほかの人に言ったら問答無用で頭の心配をされてしまうだろうが、これは本当のことだから仕方がない。
前世、俺はちょっと就職活動に失敗してまぁ正社員にはなれなかったけどそれなりに働いて、所謂ドリー夢小説で妄想炸裂させていた普通(?)の二十代女子だった。だったはずだが、なんか気づいたら死んでた。出勤途中のバスが事故りやがりました。頭を打ったのか、意識がブラックアウトしたと思ったら気づいたら三歳ぐらいの幼子でした。…うん。まぁ自分でいろいろできるようになってから気づいてよかったとつくづく思った。
まぁそこで周囲の状況とかを認識してべっくらこいた。俺はなんとあの『薄桜鬼』の世界に転生したらしい。しかもあの「南雲薫」ポジション。薫と違って俺はちゃんと女鬼だから、まぁ虐待とかは…ないと思うけど…ちょっと複雑だなぁ…。とりあえずちっさい千鶴に「おねーちゃん!」って呼ばれるたびに顔がにやけるのは仕方がないと思います(おい)。
「千鶴千鶴千鶴千鶴…!」
そして現在進行形で俺は千鶴に抱きついて号泣しております。本日の巡察メンバーである藤堂平助君と沖田総司さんが面白い顔になっておりますあはー。
千鶴はあげないからね…!
(おい)。
「えと…、」
「あぁ、ごめんね。やっと会えたのが嬉しくて…覚えて…ないかな?」
原作では千鶴は薫のことを覚えていなかった。たぶん、この世界の千鶴も、俺のことなんか覚えてないだろうな、なんて思ってたら、
「…お姉ちゃん?」
「え、」
「お姉ちゃん、お姉ちゃんだよね!!よかった!無事だったんだ!」
今度はこっちがびっくりだ。
(…そこの二人、うちの千鶴に手出したら潰すからね)(何を?!)(あはは、おもしろい子だねー、)(お姉ちゃんかっこいい!)
スライディング土下座ぁぁあああああああ!
キャラが崩壊しすぎてどうしよう…!薫が女の子だったらただのシスコンだよね!って話。
女鬼だから別に虐待されてたわけでもないし、それなりに平和だからハッピーエンドじゃね?←
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