Green and Blood〜act21〜

ある時休み時間。はグレイに聞いてみた。
「グレイって、僕のこと叱らないよね。」
「は?」
グレイは手にしていた煙草を落しかけた。

「あ、ほら煙草。灰が落ちる。」
そう言って灰皿を差出す。
「・・・あ、あぁすまない。」
グレイは灰皿に煙草の灰を落す。
「なんなんだ?君はいきなり・・・。」
「んー・・・いや・・・なんとなく・・・?」
「そこは疑問系なのか?」
首を傾げるにグレイは苦笑する。
「・・・なんだろうな・・・なんか・・・ナイトメアが・・・羨ましいな・・・って。」
「は?」
二回目。
「そんなに驚かれても。」
「いや・・・あれが羨ましいというのは・・・なんというか・・・。」
「そんな頭抱えないでよ。そうじゃなくてさ。何だろう。僕叱られたっていう『オモイデ』がないんだよね。」
少しうつむき、話し出す。
「学校の先生とか、爺様とかに叱られたっていうのはあるんだ。でも・・・両親・・・父様と母様に叱られた『オモイデ』がない。」
たんたんと、寂しそうに語りだす。
「なんでだろうなー・・・僕、『褒められる』ことと、『許される』ことしか、記憶にないんだよ。父様と母様にしかってほしくて、いろんなことしたんだよ?中学の頃までいろいろやった。補導もされた。・・・それでも・・・しかってもらった『オモイデ』はないんだ。だからさ・・・。」
ふっと顔を上げて、グレイの目を見据える。
「ちゃんとしかってもらえるナイトメアが羨ましかったんだ。」
子供だろ?と苦笑するとグレイはの頭を優しくなでる。
「そんな事はない。君は、大人だよ。少なくとも、ナイトメア様よりは。」
「そうかな?自分じゃ『ただ年食っただけ』の子供だと思うけど。」
自虐的に微笑む。
「僕はグレイに甘えてる。グレイは僕の父様じゃないのにね。」
「そうだな。君は俺に甘えてくれている。俺は・・・どうも甘えられるのに弱いらしいな。」
の頭を撫でながら、グレイも苦笑する。
「あはは。やっぱりグレイは父様みたいだ。」
「・・・それは・・・褒められているのか?」
「もちろん。」

ほのぼのとした時間が流れていた。
グレイみたいなお父さんだったらよかったなー・・・。
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