Green and Blood〜act22〜
とは塔の屋上で空を見上げていた。今の時間帯は夜。仕事がひと段落し、休憩になったらと街に出かけようとしていたのい、休憩になった途端夜になってしまったので今回のところは屋上で星空観察にとどめることにした。
「やっぱ星がよく見えるなー。」
「そうですねー。」
元の世界ではこうはいかない。
特に都会では夜も街にはネオンや街灯が輝き、その光は星の輝きを隠す。
そう、それはまるで
―ウソ デ シンジツ ヲ ヌリツブスヨウニ―
「お嬢様?」
「・・・え・・・?」
に呼ばれて、自分が意識を飛ばしていたことに気付く。
「大丈夫ですか?お疲れでしたら、お部屋に戻ってお休みになられたほうが・・・。」
「あ、うんん。大丈夫、心配すんな。」
にこっと笑って、の耳の後のあたりをかいてやると、気持よさそうに喉を鳴らして目を細める。
「(・・・あれは・・・?)。」
さっき感じた違和感。
―ナニカ ヲ ワスレテル?―
は漠然と、そんな事を感じていた。
それからしばらく二人は夜空にきらめく星を眺め、そろそろ部屋に戻ろうとした、そのとき、
ォオーン・・・
「!」
高音で響く音。
「な・・・何?」
「さぁ・・・。」
不思議に思った二人は再び屋上へと戻る。音がした―森の―ほうに視線を向ければ、
「・・・山?」
「・・・山・・・みたいですが・・・しっぽのようなものがございますよ?」
「あ、本当だ。」
森の中を大きな山のような物体が動いている。しかし、しっぽというか、魚の尾びれのようなものが見られる。
ォオーン・・・
そんな巨大な山(仮)に目を見開いている間もその物体の出す音はあたりに響き渡る。
「んー・・・グレイにでも聞いてみよう。」
「ナイトメア様ではなく?」
「あいつの説明は長いだけで要領を得ない。」
「なるほど。」
酷い言われようだな。
そんな話をしながら、二人は屋上を後にした。