Green and Blood〜act23〜

はグレイがいるであろう部屋へと向った。
「グレイー、い「ゲホ!グハ!ゴホゴホ!
「・・・また?」
「いつものことでございましょう?」
「そうだけどさー・・・。」
扉を開けるとそこには相変わらず吐血するナイトメアと背中をさするグレイの姿。
「あぁ、君たちか。どうかしたか?」
ナイトメアの背中をさすりながら呆れ顔の二人に視線を向ける。
「あー・・・うん。とりあえず、ナイトメア、大丈夫?」
「まぁ、見てのとおりだ。」
「今日も絶好調に死にそうだね。」
「ゴホ・・・それは絶好調とは言わないだろう・・・!ゴフ!」
吐血。
「・・・まぁいいや。ねー、グレイ。さっきの音、何?」
「音?」
ォオーン・・・
「!ゴホ!」
ナイトメア再び吐血。
「音というのはあれか?」
「そ。あれ?」
ナイトメア無視。その間も一定の間隔で音が聞こえる。
「ふむ。引っ越しの後だから境があいまいになって活発になっているんだな。」
「・・・あんた大人しく黙ってなよ・・・。」
ぜーはーと背で息をしながらかっこつけなことを言うナイトメアにザックリ突っ込み。
「それはいいとして、あれは何?上から見たらなんか山が動いているように見えたんだけど。」
いじいじといじけ始めたナイトメアをこれまた無視してグレイに訊ねる。
「あぁ、あれは山じゃない。クジラだ。」
「・・・クジラ・・・?」
「そう、クジラだ。クジラは君も知っているだろう。有名だ。」
「え・・・あ・・・うん・・・。知ってる・・・。ホエールウォッチングもしたことがある・・・。」
「それは凄いな。」
さらに言われても頭がついていかない。否、ついて行くことを脳が否定している。
「・・・クジラ・・・クジラって海の生物・・・。」
「海にもいるが森にもいる。」
「森クジラ。」
「森・・・クジラ・・・。」
脳みそフル回転で言われたことを処理しようとする。が、だいぶ容量オーバーらしくちょっと目が回っている。
「お嬢様・・・大丈夫ですか。」
「う・・・うー・・・なんとか・・・。」
だいぶ落ち着いてきて、大きく深呼吸。
「この世界では森でクジラが泳ぐのか・・・?」
「君の世界では泳いでいないのか?」
「いやまったく。」
泳いでいたら一大事だ。天変地異の前触れだ。むしろ天変地異そのものだ。
「そうか。なら驚くのも無理はないだろう。この世界ではクジラが森を泳ぐんだ。」
「・・・へぇ・・・。」
この世界では自分の常識は通用しないなと。はこの時改めて思った。
常識は通じません。
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