Green and Blood〜act29〜
―最近、グレイのことが気になってしょうがない―
会合期間中のある日、はグレイと街の様子を見て回っていた。
「・・・何か探しているのか?」
「へ?」
人ごみの中、キョロキョロと周りを気にしているに、グレイは怪訝な顔をする。それを指摘されたは間抜けな声を出して三秒ほどフリーズ。そして、
「え!や、うーん・・・探しているといえば探してる・・・けど・・・。」
あはは・・・と目を泳がせながら乾いた笑いをする。ナイトメアにグレイの『悪いところ』を聞いてから、なんとなく周りを探してしまう。この中に、グレイの彼女がいるのではないか・・・と。
「なら俺も一緒に探してやろう。どんな人物だ?」
当のグレイはの心中などどこ吹く風。まじめな顔で申し出てくる。
「あー・・・どんなって言われても・・・うーん。」
「よく知らない人物を探しているのか?」
「うん・・・まぁ・・・。」
「止めておけ。」
「は?」
いきなり肩をがっしりとつかまれ、まじめな顔で迫られれば逃げ出したくもなる。が、肩をつかまれた状態では逃げられない。
「君はそいつにほれているのか?止めておけ。そんなよく知りもしないやつなんて絶対後で後悔する。」
何故そんなに必死!?と突っ込みたいけど突っ込めない。っていうか一言も『男』なんて言ってないぞ、おい。
すごい勢いでまくし立てられてフリーズするに、グレイはさらに続ける。
「君はまだ若いからわからないかもしれないが、そんなよく知りもしない奴なんかと付き合ってみろ。絶対に後で後悔する。断言できる。」
「え・・・いや・・・。」
「そんなよく知りもしない奴を想うのは止めろ。いいな。」
「・・・はい。」
それはもう、鬼気迫る勢いで言われれば頷かないわけにはいかない。というか頷かざるを得ない。
「よし。それではそろそろ戻ろう。ナイトメア様のことも心配だしな。」
「・・・うん///。」
そう言っての手を引き、塔へと戻るグレイ。少し考えて、グレイが自分のことを心配してくれてたのだと気づいて、は自然と顔がほころぶのを感じた。