Green and Blood〜act33〜

その日、珍しくグレイと休憩時間が重なったは、ふと思い出したようにグレイに訊ねてみた。
「・・・そういやさ、グレイ。昔は悪だったってマジ?」
「・・・・・・・・・誰に聞いたんだ?」
ナイトメア。
紅茶を飲みながらのほほんと言ってのけるにグレイは心の中で悪態をついた(爆)。もちろん表情は崩さない。
「・・・まぁ・・・昔・・・少しな・・・。」
「ふーん。」
はシフォンケーキ(手作り。今日は黒ゴマ味。)をほおばりながらちょっと遠い目・・・。
「・・・昔の俺は君の中でどうなっているのか知りたいような知りたくないような・・・。」
そんなにグレイは自分も紅茶を一口飲んで苦笑する。
「あ、ごめんごめん。でさ、悪かったって、どんな感じだったの?」
なんだか楽しそう。ものすごく楽しそう。何がそんなに楽しいんだかわからないが楽しそう。
「俺のことなんか知って、何が楽しいんだ?」
「んー・・・や・・・僕、グレイのことあんまよく知らないから・・・もっとグレイのこと知りたいし、僕のこと知ってもらって、仲良くなりたいし・・・その・・・同じ職場で働いてるんだし・・・。」
はっと気を悪くしたのかと少し申し訳なさそうに上目遣いで訊ねれば隣に座るグレイは何故か口元を押さえて反対側を向いている。
「・・・グレイ・・・?」
「あ・・・あぁすまない。昔の俺だな。」
「嫌だったらいいよ。無理だったらいいんだ。誰だって触れられたくない過去はあるわけだし。」
慌てるにグレイは優しく微笑み返す。
「いや、別に隠すことでもないからな。・・・そうだな。昔の俺はかなり荒れていたな(苦笑)。」
「グレイが?」
「あぁ。今はかなり落ち着いたがな。まぁ・・・たまに・・・この間のように本性・・・というのか・・・出てしまうこともあるが。」
「こないだ・・・あぁ、会合のときの。」
苦笑するグレイにはあぁと会合のときの出来事を思い出す。そしてそのときのグレイの纏うオーラのようなものを思い出し、苦笑する。
「あれが、昔のグレイ?」
「・・・あれよりあれていたな。」
わぁお。
そう言って怖がりもせず、嫌そうな顔もしないに驚きつつも、グレイは居心地のよさを感じていた。
「ナイトメア様に仕えるようになってだいぶ落ち着いたんだ。本当に、今の俺があるのは、あの方のおかげだよ。」
ナイトメアを本当に慕っているようなグレイの言葉に、さすがに頭を抱える。
あのナイトメアがー?しょっちゅう吐血するくせに病院にもいかないで回りに迷惑掛け捲って仕事もサボりまくりで、隙あらば夢の中に引きこもろうとするナイトメアがー??
の頭の中は?マークでいっぱいだ。ナイトメアの尊敬できるところ・・・心が読めるところと空が飛べるところ?それしか思いつかない。間違っても自分は尊敬できない。
「そんなに頭を抱えて悩まないでくれ。ナイトメア様は俺たちに『役割』を与えてくださるんだ。俺たちは『役割』が無ければ生きている意味が無いからな。」
「え・・・そんな・・・。」
「さぁ、そろそろ休憩時間も終わりだ。仕事に戻ろう。」
グレイは複雑そうな表情をするに苦笑すると、この話はもう終わりだと言わんばかりにソファから立ち上がり、仕事へ向かう。
はそんなグレイの背中を複雑そうに見つめた。
ナイトメアのいいところってその人にしかわからないと思う(苦笑)。
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