Green and Blood〜act34〜

「グレイってさ、恋人とかいないの?」
「は?」
はグレイと二人で資料室で資料を探しながら何気なく聞いてみた。
「や、グレイってさ、かっこいいし、優しいから。モテるんだろうなーと。」
「そんなことはない。俺はモテるなんてことはないよ。」
「んじゃー昔はー?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「あー、付き合ってた人いたんだー!美人?美人だった?今は?」
明るく訊ねながらもは何故か胸が痛むのを感じた。
―何?これは。胸が痛い。自分が知らないグレイ・・・。それを知っている人がいることが・・・すごく・・・嫌だ・・・―
そんなもやもやを心に抱えていることを顔に出さないようにして、苦笑するグレイに詰め寄る。
「昔の話だ。今思うと恥ずかしいよ。あのころはずいぶん荒れていたからな。」
「美人?」
「そんな、顔なんか覚えていないよ。」
気まずそうに微笑んで、資料探しを再開する。そんなグレイにはむーっと膨れる。
「じゃー、今は?」
「今は仕事が恋人だよ。」
「・・・ふーん・・・。」
それきりその話題は終了となり、二人とも黙々と資料探しを続けた。
ただ、答えたグレイはなんだかつらそうに黙り込んでしまったを見て、チクリと胸が痛んだ。

side G
「グレイってさ、恋人とかいないの?」
「は?」
突然のことに俺は間抜けな声を出してしまった。今は二人きりで(←強調)資料室にこもって資料を集めている。最近、俺はといる時間が、とても心地よいと感じる。ずっと、隣にいてほしいと、そんなことを柄にも無く思ってしまう。
「や、グレイってさ、かっこいいし、優しいから、モテるんだろうなーと。」
『かっこいいし、優しい』か。俺の本性をこの間見たばかりだろうに。それでもそんなことを言ってくれるに、苦笑をもらす。
「そんなことはない。俺はモテるなんてことはないよ。」
「んじゃー昔はー?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「あー、付き合ってた人いたんだー!美人?美人だった?今は?」
無邪気に聞いてくるその中にも、どこか苦しそうな響きが混じっているのを俺は見逃さなかった。対する俺だって、君が過去、どんな奴と付き合っていたか、それくらいは気になるんだぞ?そんな独占欲丸出しのような思いを押し込めて答える。
「昔の話だ。今思うと恥ずかしいよ。あのころはずいぶん荒れていたからな。」
「美人?」
「そんな、顔なんか覚えていないよ。」
そうだ。顔なんか覚えていない。役無しの顔無しなんか、いちいち覚えていないよ。俺は今、俺の隣に君がいてくれれば、それでいいよ。
「じゃー、今は?」
「・・・・・・・・・今は仕事が恋人だよ。」
少し迷った結果、俺はそう答えた。
「・・・ふーん・・・。」
それを聞いたは満足したのかしていないのか、資料集めを再開する。その間、会話は無い。ふと、見えたの表情がなんだか辛そうに見えて、胸が痛くなった。
鈍いどうしたと周りがいらいらしそう(苦笑)。
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