Green and Blood〜act35〜

夜。食事の時間。目の前に置かれた謎の物体にナイトメアは表情を引きつらせた。

いつもだったらナイトメアの食事は仕事の合間にが作っていた。なんだかんだ言っての作る料理を気に入ったナイトメア。の作る料理であれば、偏食気味なナイトメアもよく食べる。おかげで少しだけ、ほんの少しだが、最近顔色もいい。の努力の結晶である。
そしてそれを見ていたグレイが突然言い出した。
「料理を教えてくれ。」
と。
自分もナイトメアの健康向上のために何かしたいと。そこではグレイに料理を教えた。比較的簡単なものを。教えたレシピ通りに作れば99%失敗しないはず。・・・しないはずだった。が。
「・・・なんだ、これは。」
「・・・えーと、おじや・・・というがいた世界の料理だそうです。」
「!グレイが作ったのか?!」
「はい・・・。」
苦笑するグレイに青い顔をするナイトメア。その様子を微笑ましく眺める
「・・・ちゃんと教わったレシピ通りに作ったんですが・・・やはり俺に料理は向いていないんでしょうか?」
「わかっているなら最初からやるな!」
「・・・いやぁ・・・自覚があるだけましだぞー?」
自覚がないのが一番恐ろしいと思うぞ。そう呟くとナイトメアとグレイはそんな人物でも知っているのかちょっと遠い目をする。・・・まぁ言わずもがな。ゴーランドのことだろう。
キュィィィィ・・・
「!!ゴフゥ!
「あ、クジラ。・・・って驚いたくらいで吐血しないでよ・・・。」
クジラの鳴き声に思いっきり驚いて吐血するナイトメアに呆れたような視線を送ってみる。グレイにタオルを渡され、しばらく咳き込みながら吐血しているナイトメアはグレイの作ったおじやを見たときより顔が青くなっている。
「・・・そんなことを言っても・・・驚くものは驚くんだ・・・。まったく・・・あんなに鳴いて病気にならないのか?」
「や、別に鳴き声くらいで病気にはならないと思うよ・・・ねぇ。」
「そうですね。そんなことをおっしゃっていたら犬なんかどういたしましょう。人が通っただけでやたら吠えるおばかなこもいらっしゃいますよ?」
・・・なんかざっくりすっぱり毒はいた気がするけど聞かなかったことにしよう。
「・・・ねぇ、グレイ。あのクジラは・・・どこに行きたいんだろうね。」
はぁとひとつ大きなため息をついて窓の外を眺める。
「やっぱり、海に帰りたいのかなぁ・・・。」
「君は元の世界に帰りたいのか?」
いまだに青い顔で唸っているナイトメアを放置(え)してグレイはの隣に立つ。
「僕は・・・帰りたいというか・・・帰らなきゃいけない・・・。」
「何故?」
「何故って・・・。」
なんでだろう?
自分でもわからない。ただただ漠然と帰らなくてはいけない。お前には責任があると、誰かが囁き続けている。誰が?責任・・・?考えてもわからない。思考だけがループする。
黙り込んでうつむいてしまったを、グレイは痛ましげに見つめていた。
森を泳ぐクジラとかマジで見てみたい(え)。
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