酒は飲んでも飲まれるな

グレイは目の前の光景にちょっと現実逃避したくなった。

事の起こりは五時間帯ほど前。帽子屋屋敷への書類を届けるために出かけていったがなかなか戻ってこないのでグレイが迎えに行くことになり、そして帽子屋屋敷で目にした光景は、
「あはははー!ウサギ!!みかん色ウサギ!!」
「ギャー!耳!耳引っ張るなっ!!てか俺はウサギじゃねー!」
「こんな耳して何言っちゃってんの?こんな長い耳の生き物なんてウサギしかいないじゃんよ!ねーディー、ダムー?」
「そうだよね。バカウサギは自分の種もわからないほど馬鹿なんだ。」
「駄目だよ兄弟。馬鹿に馬鹿って言ったらかわいそうじゃないか。」
「だー!!馬鹿って言うな糞餓鬼ー!」
「「「あはははっ!!」」」
顔を真っ赤にしてブラッディー・ツインズと一緒になってエリオットをおもちゃにするの姿。そしてそれを面白そうに眺めながら紅茶を飲むブラッドと、かかわりたくないと言わんばかりに離れて見守るアリス。
「・・・アリス・・・。」
「あらグレイ。どうしたの・・・ってのお迎えしかないわね。」
「あぁ・・・そうなんだが・・・あれは何なんだ?」
いつもの落ち着いたからは到底想像できないぐらいはっちゃけている。キャラが180度違う。
「あぁ・・・うん。大本の原因は・・・ブラッドよね。明らかに。」
じとり、と横目で視線を向けるがそんなことは何のその。
「いつも書類を届けるだけで帰ってしまうからな。少し引き止めてみようと思っただけだよ。」
「その方法がジュースだって言ってお酒を飲ませるんじゃなかったら別に誰も文句は言わないわよ・・・。」
なるほど。なんとなく状況は飲み込めた。
「・・・つまり、は酔っているのか?」
「そういうことになるな。」
見ていて飽きない。
完全に人事のように言いながらカップに口をつけるマフィアのボスにグレイはちょっとだけ(本当にちょっと)殺気を向けて、すぐに視線をエリオットをいじめ倒しているとブラッディー・ツインズに向ける。瞬間、ぴたりとの動きが止まったかと思うとグレイのほうに向く。そして、
パアァァァアア
『!!!』
いつも浮かべたことのないような無邪気な笑みを浮かべてグレイにタックル。
「グレイーvv」
語尾にハートが飛んでいる。ちょーびっくりだ(笑)。
「グレイーvv」
あぁ、ご主人様を見つけた犬みたいだ。耳と尻尾の幻覚が見える。
「・・・大丈夫か・・・?」
「うぇ?だいじょーぶ?だよ?」
こてん、と首をかしげる。なぜ疑問系なのかはあえてスルーしよう。
「とりあえず帰ろう。ナイトメア様が心配して倒れる。」
どんだけだよ。
「んー?帰る?グレイのとこ?」
「あぁ、そうだな。」
「えへへー、グレイ大好きーvv」
チュウ
「!」
唐突に感じた唇の柔らかな感触にグレイがフリーズしている間にはグレイに抱きついたまま寝息を立てていた。
「・・・やるわね、グレイ。」
「何がだ!」
「叫ばないでよ。が起きちゃうわよ。」
アリスの言葉に反射的に突っ込みを入れるが、腕の中で気持ちよさそーに寝息を立てているの存在を思い出してはっと我に返る。
「・・・とにかく塔に戻る。帽子屋・・・次はないと思え。」
「善処しよう。」
次もやる気か。
そうは思ったが誰も口に出さない。

次の日。自室で目を覚ましたは前日の記憶がない上に二日酔いで一日ダウンしていた。
・・・君は酒は飲むな。」
「うぇ・・・あ・・・うん・・・わかった・・・。」
「(酒を飲むたび毎回あれでは俺が持たない・・・)。」
やっぱり一番苦労しているのはグレイなのかもしれない。
二十万ヒットありがとうございました。
お酒飲むとキャラ変わるとか超楽しい・・・!
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