コンコン
「失礼する。」
「「「「「「「いらっしゃいませ。」」」」」」」
「・・・。」
「おや、嬢ではないですか。お久しぶりです。」
”にっこり”という言葉がバックに付きそうなほどさわやかな笑顔でこの『ホスト部』とか言う妙な部活の現部長にして創設者、須王環(二年)が迎えてくれた。
・・・だがやっぱりこのテンションには付いていけない。
あたしはしばし扉の前で頭を抱えていると、何かが行き成りタックルをかましてきた。
・・・いや、なんだかはわかっているのだが・・・。
「光邦・・・。」
「ちゃんど〜したの?めずらしいねぇ〜?」
埴乃塚光邦。埴乃塚家跡取り息子。
三年生だと言うのに小学生といっても通用しそうな”ロリショタ系”(というらしい)。
そして・・・どういうわけか、あたしの幼馴染にして、親同士が勝手に決めた婚約者である。
しかもあたしは光邦にかなり気に入られているらしい。
「光邦・・・忘れ物だ。あと行き成りタックルはやめろ。」
そう言いながら光邦の首根っこをつまんで引き剥がしながら、光邦がいつも常備しているお菓子入りの巾着を渡す。
「だって〜ちゃんがホスト部に来るなんて珍しいから、嬉しくって♪」
花を飛ばすな。花を。
あたしはここに来て二度目の大きなため息をつくといつの間にかそばに来ていた森乃塚崇に子猫よろしく光邦を渡す。
「・・・崇・・・お前も大変だな・・・。」
「・・・いえ・・・。」
そんなあたしたちの会話をよそに、光邦はあたしが渡した巾着からクッキーを取り出してほおばっている。
・・・なんであたしはこんな人に気に入られてしまったのだろうか。
光邦があたしの婚約者である限り、あたしのこの状況は続くのだろうか・・・?