わがままツインズ
今日の仕事を終えて家に帰るといつもの事ながら双子の弟達が使用人をからかって遊んでいた。まぁ、いつものことだと思って部屋に戻ろうとしたら、
「「姉さーん!」」
目ざとい二人に捕まり、抱きつかれました。・・・まぁ、見打つからない、ということはないだろうなとは思ったけど。
「・・・光、馨・・・のきなさい。重い。」
そして着替えをさせて。
そんな抗議の声もお構いなしに二人は「「やだ。」」と一言でますます抱きつかれ、そのままリビングのソファーに連行された。
「・・・光・・・馨・・・あたしだって疲れてんの。あなたたちだって明日も学校でしょ。さっさと休みなさい。」
「「えー。」」
えーって。
「あんた達、子供じゃないんだから「えー」とか言わない。」
まったく・・・と両脇に弟達を引っ付けたまま溜息をつく。
「だって姉さん最近忙しいし。」
「僕らにかまってくれないし。」
「「つまんないんだもん。」」
もん、じゃないわよ。もん、じゃ。
「仕方ないでしょ。母さんの新作のことで忙しいんだから。」
母さんの新作発表まであと一ヶ月。ラストスパートをかけるため、母さんは仕事場に缶詰状態。そんな中であたしはとりあえず荷物を取りに来ただけだし。今日はこっちで休んで、明日の朝一でまた仕事に戻るし。
「むー、じゃあさ。今日は一緒に寝ていい?」
「仕事一段楽したらかまってくれる?」
・・・ガキか・・・。
とか思ったのはまぁ置いておくとしよう。二人とも悪気がないのは知ってる8使用人たちに仕掛けるいたずらなんかとは違って)。大きく溜息をついて光と馨の顔を順番に見て、
「しょーがないわね。いいわよ。シャワー浴びてくるから離れて。」
「「わーい!!」」
自分の部屋に枕でも取りに行ったのか嬉しそうに駆けていく二人を見て苦笑がこぼれる。
次の日。両脇をがっちりホールドされたあたしは、二人が起きるまで起きられず(起こしても起きなかった)、遅刻したのは言うまでもない。