腹黒騎士と天然魔女

南校舎北側廊下突き当たり第三音楽室。そこになんだか場違いのような気もしなくも無い。

「あ、きょーちゃん発見!」
聞こえてきたのはなんだか聞きなれた呼称だが、それを発したのはいつもソレを使う人物ではなく、少女のもので。
「あぁ、。どうした、珍しいじゃないか。」
声に反応したのは意外と言えば意外で、当たり前の人物である鳳鏡夜。
「ん。たっくんがね、またなんか勝負吹っかけるって息巻いてるみたいでさ。きょーちゃんに勝てそうなものを偵察して来いって。」
たっくんがきょーちゃんに勝てるわけないのに、学習しないよね。と言うはひどいことを言ってると思う。
「香南は何も言わなかったのか?」
「かなちゃん?かなちゃんは「負けるってわかってて挑む勝負ほど無駄な労力を使うものは無いわね。あなたの頭には庶民味噌でも詰まってるのかしら。あぁ、こんなことを言ったら庶民味噌に失礼ね。最近のものはかなりレベルが高いらしいわ。あなたの脳味噌は庶民味噌以下かしら。」だって。」
「うむ。一字一句そのまま言ってる様子が目に浮かぶな。」
さらにソレを言われた久瀬の反応もなんだか悲しいくらいありありと想像できる。
「まぁいい。『偵察』ということはしばらく見ていくんだろう。ハニー先輩とケーキでも食べていろ。」
ちゃんこっちーvv」
「わーいvv」
さっきまで微毒(笑)をはいていたとは思えない変わり身の笑顔でハニー先輩の元へ駆けていくに苦笑する鏡夜。さながらその表情は”大事な妹を見守る兄”と言ったところだろうか。

後日。なんだかよくわからない勝負を持ちかけられた鏡夜だったが、幼馴染の女性陣の毒舌により、鏡夜の不戦勝となった。
あの辺の幼馴染連中は物凄いと思う(笑)。
back