めんどくせぇが(いろんな意味で)椎のあの黒い謎のオーラには逆らえねぇからな。
しぶしぶ家に帰ってみた。
そこで言われたのは「婚約者候補がいる」ということ。
一瞬俺は固まったぜ。当たり前だろ。行き成り「婚約者候補」って。
俺たち六人兄弟の中の誰かと結婚するってことだろ。
そうしたらこの店に女が一人入ってくるってことだろ。
いろいろとめんどくさくなるじゃねぇか。ま、いい女ならそれなりに可愛がってやってもいいけどな?
そんなことを考えながらやってきた女は・・・なんだまだガキじゃねぇか。
しかも陸と同い年。け。色気も何もあったもんじゃねぇ。
ま、ツナギだって言うから?その辺は使えるかも知れねぇけどな。
それからとか言うあのガキはしょっちゅう店に来てるらしい。
しかも俺様がよく競馬場にいると聞いて(おそらく教えたのは椎だろう)、競馬場にもやってくる。
「・・・んー、5番かな。一本で言ってみ。前後賞くらいは当たるんでない?」
来ると必ず俺の隣で予想をして行く。大体が当たってるけどな。
あいつも面白いらしく、俺が信用しないではずれ馬券を買おうとすると馬鹿とか絶対外れて損するとか言いやがる(実際その通りだが)
何回かそんなことがあったりもしたが、なかなか面白い奴らしい。
まぁ、遊郭の女たちみたいにこびたりしない。
かといって堅苦しい奴でもない。まぁ、仲間ってとこだな。
こんな奴がいるんだったら、まぁたまに店に戻ってもいいかとふと俺らしくも無く思った。