あいつは友達だ。

第十三話〜それぞれのココロ―皐月―〜

急に壱也にいに店に集められた。しかも臨時休業だとさ。
なんでも『大事な客』がくるとかでさ。兄弟全員が集められた。
・・・こんなことには絶対に顔を出さないあの三笠までいやがる。
で、壱也にいの口から出た言葉は『婚約者候補』。
そりゃな皆驚くわな。俺だって何いわれてんのか全然わかんなかった。
なんかうちに食材入れてる食品問屋の下の娘を俺たちの誰かと結婚させてくれって言われたらしい。

女なんていたって(木花は・・・まぁ、別だ)邪魔なだけだろうがな。
で、その女はなぜか陸の奴と一緒にやってきた。
日本の学校で同級生だとか言ってる。ってことは俺と同い年か。
とか言うその女はその辺のなよなよした女とは違ってわりといい性格をしてるみたいだった。

それからあいつはしょっちゅう店に遊びに来る。
たまに店のほうも手伝ってるみたいで澪には結構気に入られてるみたいだ。
俺と双葉が(陸曰く)辺境の地に仕入れに行くのも「面白そう」とか言ってついてくる。

仕入先に行くには俺たちは馬を使うが、あいつは鴉天狗の血が入ってるから
自分の翼で俺たちの馬の隣を飛んでついてくる。
森の中で行き成り食虫植物や謎の生物にあって双葉が慌てていてもあいつは動じない。
むしろ自分で向かって行ってぶっ飛ばしている。
仕入れも終わって戦闘でぼろぼろになっても「へーきへーき」と笑っている。
一回あいつから言って来て、修行(?)の相手もしたことがある。
「女」だから少し手加減をしていたらあいつに言われた。

『あのさー、「女」だからってばかにしないでよね。』

『あたし、「女」だから、「女」の癖にって、嫌いなの。』

『だからあたしは強くなるの。馬鹿にされないように。「女」だって「男」だって「生き物」だから。差別とか、あたし嫌いなの。特に男女差別。』

『わかった?わかったら手加減なんてしないでよね。』

そのきっぱりとした態度に俺はちょっとだけ胸が高鳴った。
なんだ?これは。

それから俺はと陸が一緒にいるのを見るとなんだかイライラするようになった。
二人が日本の学校の話を楽しそうにしているのを見ると無性にむしゃくしゃした。
それを双葉に椎に言ってみるとなぜか少し嫌な顔をして「・・・ライバルが増えた・・・。」とか行ってやがったけど。
とにかく俺がわかっていること。

『あいつは友達だ。』

んー・・・なんかおかしい?
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