次の日。双葉が迎に来てヤマトへ。
肝心の双葉のほうはなんか俺をおいてさっさと店に戻っちゃったみたいだけど。
で、俺は一人で店に向かう。まぁ、何度も来てる所だから迷うはずもない。
店に向かって歩いてるとき後ろのほう聞き覚えのあるような声がした。
「うえ〜、の薄情ものー!・・・あ。そこのお兄さん!」
「ん?」
困っている人はほおって置けない友人命名「世話焼きオーラ」のせいで反射的に振り向いてしまった。
これが本日一回目のびっくり。
「『ひよこや』ってどこに・・・あー!」
「え?!あー!!」
そこに立っていたのは日本の同級生でクラスメイト、さんだった。
なんでもひよこやに行かなくてはいけないのだが道がわからないという。
どうせ俺も行き先は同じところだからということで一緒に行くことにした。
店について本日二回目のびっくり。
壱也兄さんからいわれた言葉。
『婚約者候補』
俺は叫びだしそうになるのを必死で押さえて壱也兄さんの話を聞いていた。
さんはもともとヤマトの人で「社会勉強」とか言って日本にいたらしい。
そしてなぜか俺たち六人のなかの誰かと結婚させてほしいとかさんの親は言い出したらしく
今日ここに来たということらしい。
大変だなぁ・・・。しかもなんかいろんな種族の血が混じっててツナギの能力まであるとか。
ふ・・・複雑・・・。
その日は自己紹介だけで終わった。が。
その後が大変だった。日本に戻ったら・・・俺とさん(帰りに無理やり呼ばされた)は付き合っているという噂が立っていた。
別に嫌ではないが・・・ちょっと複雑。
さんはうちの学校のアイドルだ。特別美人というわけでも頭がいいというわけでも運動神経がいいというわけでもない(らしい)。
でも、それでもさんは「アイドル」だ。
理由は「性格」。
いつも明るくて元気で、自然と人をひきつけるオーラを持っている。
誰かにこびることもなくて、いじめとかあると真っ先にその場にいって相手を蹴散らす。
そんなだから皆に好かれている。
そんな人と付き合っているという噂が立つだけ俺は果報者だと思うけど。
さん本人はどう思っているんだろう。
そんなことを考えながらさんを見ているとそんな視線に気が付いたのかさんがにっこりと微笑んでくれた。
どき。
その笑顔に顔が赤くなって思わず目をそらしてしまった。
どきどきする。これって・・・。
店の皆もさんのこと気に入ってるみたいだし・・・ライバルは多いかもしれないけどでも・・・頑張ろうと俺は思った。