「あ、ちゃん。あけましておめでとう。今年もよろしくね。」
一番最初に声をかけてくれたのは椎。
「今年もよろしくお願いします。・・・元旦から営業ですか。」
「うん。まぁね。」
さすがに元旦はお休みだと思ったんだけどな。
「・・・そうですか・・・。」
「?どうしたの?」
「いえ。皆さん一緒に初詣に行こうとおもったんですけど・・・お忙しいですよね。」
「ん〜・・・そうだね。初詣かぁ。毎年それぞれ暇になった時間に行ってくるからね。だから着物なんだ。かわいいね。似合ってるよ。」
「あ、ありがとうございますv」
やっぱり忙しいんだなぁ・・・。あたしと椎が話をしている間も初詣帰りの人なのか着物を着た人たちが買い物をしていく。
「そうですか。じゃぁなんかあたし邪魔みたいなんで失礼しますね。それでは・・・「あ、陸。」
あたしが帰ろうとしたとき、ちょうど陸が支度を終えて店に出てきた。
「あ、陸。こっち来てたんだ。」
「え!さん。う・・・うん。寮の皆もほとんど実家に帰ってるし、三が日はこっちでバイトしようと思って。」
「ちょうどいいや。陸。ちゃんと初詣行ってきなよ。ちゃんも一人じゃつまんないでしょ?」
椎がいいアイディアと言わんばかりにニッコリ笑って陸に提案。
「え・・・でもお店・・・。」
「行っておいで。」
「あ、壱也さん。あけましておめでとうございます。」
悩む陸の後ろから現れたのは壱也さん。
「あけましておめでとう。いいんだよ。こっちにきて初めてのお正月だ。正月の雰囲気も味わってくるといい。」
「だって。壱也さんのお許しも出たんだから。行こう。初詣。あ、ついでにサイカ様も連れてこうよ。ね。。」
「うん!」
「そ・・・それじゃぁ・・・。行ってきます・・・。」
「はい、行ってらっしゃい。」
と言うわけで。ところ変わって神社。やっぱりお正月と言うことで。初詣客で賑わいは凄い。あちらこちらにいろんな屋台まで立ってる。
そしてあたしたちの順番。お賽銭入れて拍手うって・・・
『今年も皆と仲良く笑って暮らせますように。』
「よし。」
「お願い事したー。」
「わいもや。」
「陸も終わり?」
「うん。」
四人ともお参りを済ませて屋台でわたあめ(のようなもの)を買って食べて・・・。
「・・・あれ?陸は?」
気がついたら陸がいない。さっきまで一緒にわたあめ食べてたのに。サイカ様はと一緒にわたあめにかじりついてる。
「どこ行ったんだろう・・・?」
きょろきょろと陸の姿を探していると向こうから陸が走ってくる。
「あ、いたいた。どこ行ってたの?」
「ご・・・ごめんなさい・・・。えっと・・・これ・・・。」
「?」
差し出されたのは水晶のような珠のついたブレスレット。
「えっと・・・なんか・・・お守りらしいんだ・・・で・・・その・・・おそろいで・・・買ってみたんだけど・・・いやだったかな・・・。」
そういう陸の腕にも色違いのブレスレット。
「ううん。凄い嬉しいよ。ありがとう。さて。そろそろ帰ろうか。あんまりおそくなると澪が怖いよー。」
「あ、う、うん。」
あたしは陸に貰ったブレスレットを日の光にかざす。透明な珠がキラキラと光る。今年もよい年になる予感。
その後。店に帰った二人は同じブレスレットを速攻で見つかり皆にからかわれた。