デート〜陸の場合〜
というわけで。今日は陸とデートです。
「おっはよー。」
「おはよう。さん。」
陸の暮らす寮まで陸を迎えに行く。ま、フツー逆だろとかいう突っ込みはナシの方向で(笑)。
「で、どこ行こうか。デートってしたこと無いんだよね。あたし。」
「俺も。とりあえずデートっていうと・・・ショッピングとかかな?」
「まぁ、王道よね。じゃ、とにかく行こうか。とりあえず・・・駅前かな?」
「だね。」
ということで、あたしたちはバスに乗って駅前へ。バスの中での会話は自分の家のこと。
「へー、さんって三人兄妹なんだ。」
「うん。兄様と姉様がいるの。・・・姉様がね・・・おもいっきりお母様似で・・・二人揃うと本当に最恐よ?」
「・・・それは・・・すごいね・・・。」
お母様との対面であの恐ろしさを身をもって実感した陸はちょっと遠い目で苦笑する。
そんな会話で気がつけば終点の駅前バス停。
「さて・・・さんは何か見たいものある?」
「んーそーだねー・・・そろそろ服とか欲しいかなって思ってたから服みたいかな。あ、でもまず腹ごしらえしようよ。おなか空いちゃった。」
あたしたちはファーストフード店で食事をして、いろんな物が見れるからってショッピングモールへ。
「どーよ。これ。」
「さんって基本的に何着ても似合うよね。」
「お褒めいただき、ありがとうございます。」
ショッピングモールで受け狙いなロリータワンピ(普段絶対着ない)、いつも着ているような服に似た感じのパンクタイプの服、そしてボーイッシュな動きやすい服と三パターンを試着。
「んー、どれにしょうっかなー?」
「これ、可愛いとおもうよ?」
と、さらりと恥ずかしいことを言ってのける陸が選んだのは・・・
「ロリ服ですかー?」
おもいっきし受け狙いで選んでみたんですけど?
「うん。似合ってたよ。」
陸ってこういう普通だったら言わないようなことさらっと言っちゃうよねー・・・。
「んー、そんなに似合ってるって言ってくれるなら・・・これにしよっかな・・・。じゃぁ会計してくるわ。」
「行ってらっしゃい。」
あたしは服を持ってレジへ行き、会計を済ませる。
「・・・あれ?陸・・・トイレかな・・・?」
戻ってくると陸の姿が無くなっていた。トイレにでも行ったのかと思ってちょっと待っていると、陸はすぐに戻ってきた。
「どったの?トイレ?」
「え・・・あ、うん。まーそんなとこ。」
「?」
陸の様子が何かおかしい感じがしたけどあまり気にしないことにして他にも靴とかアクセサリーとか学校で使う文房具なんかを見て回った。
「くー!楽しかったーv今日はありがとうねv」
日も暮れてきてそろそろ帰ろうということになった時、
「どういたしまして。俺も楽しかったよ。」
駅から最寄のバス停に戻り、お互いに握手。
「あ、そうだ。」
「?」
陸が鞄の中をガサガサと探して何かを取り出す。
「はい。プレゼント。」
そういって渡されたのは―シルバーのクロスがついたペンダント―
「わぁーいいの?」
「うん。えっと・・・一応デートだしさ。」
「ありがとう。」
そんな感じで陸とのデートは終わった。
次の日。やっぱりというかなというか、あたしたちのデートはいろんな人に目撃されていたらしく、学校中の噂になっていた。