デート〜椎の場合〜弐

さっすが椎。研究してきたというだけあって本当にぬかりはなかった。どのアトラクションも待ち時間五分から十分。一番人気のジェットコースターでさえせいぜい三十分程度で乗れた。
午前中は絶叫系みたいなハードなものを制覇し、お昼は中の食堂でランチ。午後はメリーゴーランドみたいなゆったりとしたソフト系でのんびりというコースを回り、あっという間に日が暮れた。
「さぁ、あとは夜のパレードで最後だよ。ゆっくり見られる穴場があるから、行こう。」
そう言って連れてこられたのはちょっと高いところにあるオープンカフェスタイルのレストラン。お店は、パレードのほうに人が集中してしまっているようでお客さんはほとんどいない。
「んー、この辺かな。僕は温かい飲み物でも買ってくるから、待ってて。」
「はーい。」
椎に指定された席についてあたりを見回す。高台にあるだけあって、かなり見晴らしがいい。
「はい。お待たせ。」
「あ、ありがとう。」
椎が飲み物を買って戻ってきた。
「さ、そろそろ始まるよ。」
椎のその一言とともに―周りの灯がすべて消え、次の瞬間―
「うわぁ・・・。」
パレードの灯が眼下を埋め尽くしていた。
「すっごーい!これは高いところからじゃないと見れないねー。」
「気に入ってもらえてよかったよ。」
興奮するあたしに、椎は満足したようににこにこと返してくる。んー・・・なんか慣れすぎてる気がするなー・・・。
「そんなことないよー。僕デートなんて初めてだからこれでも緊張してるんだよー?」
もう思考読まれることも慣れてきてしまってあまり気にしなくなってきてしまった。
「まじでー?」
「うん。だって僕、彼女いたこと無いもん。」
モテそうなのに。

そんなことを話しているうちにパレードも終わり、あたしの照明も通常のものに戻された。
「さて、パレードも終わったし、そろそろ帰ろうか。」
「うん。今日は楽しかった。遊園地なんて久しぶりだし。本当にありがとう。」
「どういたしまして。」

帰って今日のことをに話すと自分も行きたかったと暴れられたが、お土産に買ってきたお菓子を与えたら大人しくなった(笑)。
本当に今日は楽しかったわーv
椎は絶対こういうの全部リサーチしていくと思う(笑)。
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