当たって砕けて丸く収まる
あれからさらに一ヶ月。椎とのデートの日。
あたしは椎からのプロポーズについてずっと考えていた。結論から行くと、
当たって砕けろ
的な感じで行こうと思う(え)。
ぶっちゃけ椎のことは好きなほうだと思うし、なんだかんだいって優しいし(たまに黒いけど)、結構本音バトルできるし(対腹黒スキルはお母様と姉さんでGET済)、基本的に断る理由と言うものはないと思うんだよね。『愛してる』かって聞かれたら必ずしも『Yes』と答えられないのが申し訳ないところだけど、その辺はまぁこれからってことで(だって知り合って一年ちょっとだもん)。
で、本日のデートは異界の大きな劇場で上演される舞台『灰かぶり』。日本での生活が長いあたしとしては「今更舞台化するようなものか?」と思わなくもないが、異界ではものめずらしい上に思いっきり内容捻じ曲げられたギャグテイストに仕上げられていた(俳優さんたちは美形なのにもったいない・・・!)。
そして例の如くなティータイム。今日は劇場近くのお茶屋さんで『まっちゃぱふぇ』(←本当にメニューはひらがなっぽい感じだった)を頬張り中。
「ねぇ。」
「ん?」
あ、嫌な予感。
「一ヶ月前の答え、聞かせてくれるかな?」
・・・もぐもぐもぐ・・・ゴクン。
嫌な予感的中。解ってはいたけど十秒ほど思考が停止した。
口の中に残っていたカステラと白玉を咀嚼して飲み込むことでなんとか思考回路を回復させる。
「・・・一ヶ月前も思ったけど本当、椎って唐突だよね。」
「サプライズ的なほうがいいでしょ?」
「サプライズにもほどがある!!」
そんなあたしの突っ込みもものの見事にスルーされた。
「むー・・・。」
ちょっと不本意だとは思いつつ。一緒に頼んだほうじ茶をすすって。
「えっと・・・えっと・・・よ・・・よろしくお願いします・・・?」
ふかぶか――――――――――と頭を下げてみれば、
「うん。こちらこそよろしく。」
椎は凄く嬉しそうに、いつものなんかうそ臭い笑みじゃなくて、本当に心から嬉しそうに笑ってた。そんな椎の表情を見れただけでもよしとしようかなと思う。
(じゃぁ早速行こうか)(え?どこに?)(君のお母さんに挨拶)(唐突過ぎ!)
これにて完結です!!・・・長かった・・・!!ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
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