らぶ・あたっくは近所迷惑!act2
食事まで後一時間ということで、は神将に留守番を頼んで露天風呂に向かった。するとそこでは
「いいよね赫音、女同士なんだし。え、そんな、でも・・・ライカが見てるよ!わん!」
「あの小さいのは、さっきから一人で何をやっているのですか?」
「伝統芸能の一種だそうですよ?温泉ではやっとかないと、とか言ってましたけど。」
「そ、そうなんだ・・・。あたし、御崎が妖怪に憑かれたのかと思ったよ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
なんか謎の漫才が繰り広げられていた。
たっぷり十秒ほどその光景を眺めてから、こんなことしてても埒が明かないと思い、は意を決して露天風呂に突入を開始。それに一番最初に気づいたのは犬神使い・滝沢赫音。
「?あれ?君・・・あ、もう一組別館に泊まるって言ってた人?」
「うん、あ、一緒していい?」
「どーぞー、な、ライカ。」
「わん。」
「あ、そのこライカっていうんだー、いーなー可愛いなー。うちのもっくんも可愛いけど。」
「わん?」
なんてこっちはほのぼのトークをしてたり。向こうはなんか男湯にいる人とトーク中らしいです。でも無視。
「っていうか、君、ライカ見えるんだ。普通の人には見えないはずなんだけどね。」
「あーうん。うちの家系がそういう家系でねー。特にじい様と弟とあたしは力が強くてねー。あ、あたし。安倍っていうの。よろしく。」
「ぼくは滝沢赫音。このこはライカ。よろしく。」
自己紹介が終わったと、そのとき、
「先輩っ!イタチさんに変なこと吹き込まないでください!」
男湯のほうからなにやら叫び声が聞こえると同時に。ふいに、すべての灯りが消えた。
「ふえ?」
「出現場所にはこだわるけど時間にはアバウトってことかしら。まー、妖怪っぽいと言えばぽいのかも。民俗学の父の提唱した理論は今もなお健在というわけね、なるほど興味深い。」
なんか向こうで冷静に分析してる人がいる。そんななか、は割りとのほほんと湯船に浸かっていたり。あのたぬきじじい(の生まれ変わり)とその後継たる昌浩(の生まれ変わり)と共に日ごろから妖怪退治やらなんやらやらされているにとってはこれくらいなんともない。
「イタチさーん!」
「真一?どうしたの?」
「まさかとは思うけど・・・危険な妖怪の気配とかないよね?何かいたりしないよね?」
とかいう会話を聞きながら、『妖怪の専門家とか言ってもあっちで叫んでる男の子は一般人かー』とか『ここであたしが返事したらびっくりしてくれるかなー?』とか思いつつ。
「赫音(既に呼び捨て)、あたしそろそろ出るわ。のぼせる。」
「え?大丈夫?真っ暗だけど?」
真っ暗な中、赫音が心配そうに声をかけてくるが、はどうってこと無いと言う様にふふん、と笑うとブイサインを出す(だから見えてません)。
「ん。大丈夫。暗視術使えるから。」
「暗視?」
「うい。」
はそう言うとすばやく印を組み、
「じゃ、そういうことで。あ、これ別段害は無いみたいだよ。」
それだけ言い残してさっさと露天風呂を後にした。
露天風呂でほのぼのトーク。っていうか気付けよと突っ込みを入れてやってください(笑)。
ライカほしいなぁ・・・(え)。
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