らぶ・あたっくは近所迷惑!act9
玄関に一人残してきた真一がなかなか帰ってこないので御崎とイタチちゃんが迎えに行くと、八雲の『雪女』カミングアウトがあったらしく・・・
「それでは皆さん、ご静粛に!」
大部屋に御崎の声が響く。・・・すんごく楽しそう。
「お待たせしました。レディースアンドジェントルメン!」
その隣では慈吾朗が年齢に似合わぬハイテンションで叫んでいる。その姿に江戸橋の隣に座っている八雲が白いため息をついている。そしてはで、善人にがっちりホールドされて諦めモード。
「ただ今より!」
「迷惑妖怪『火取魔』撃退成功記念!」
「アーンド!」
「なあんだ妖怪って意外と多いんじゃねーかという事実発覚記念!」
マイクの変わりにペットボトル片手に御崎と慈吾朗が交互に叫ぶ。どっからくるんだそのテンション。
「突・発・的・交流会!」
「イン!箕輪荘別館を!」
「「始めまーっす!はい拍手ー!」」
打ち合わせもなく最後の台詞を綺麗にハモらせた御崎と慈吾朗に全員がちょっと感心しつつ、ぱちぱちと拍手を贈る。それに満足そうに深々と一礼する司会コンビ。
「なかなかやるのう小娘。」
「あんたもね老いぼれ。」
なんだこの二人。
不敵な台詞交換をして自分たちの席にさっさと戻っていく。それを合図ににぎやかな食事が始まった。
「・・・是害坊・・・。」
「『善人』。」
「・・・・・・善人・・・そろそろ離れなさい。ご飯が食べられません。・・・とりあえず・・・逃げないから。」
もう、逃がさないとばかりに力いっぱい抱きしめてくる善人に深くため息をつく。
「そうだね。」
そういうとあっさりを解放する。それを確認してもう一回ため息をつくと、も食事を開始する。
「ほんと驚きましたわ、皆さんも妖怪だったなんて・・・化けるの、お上手なんですね。」
八雲は楽しそうに隣に座るイタチちゃんに尋ね、そこから妖怪トークが広がっていく。・・・なんだこの異常空間。
「しかも、そちらはかの大陰陽師、安倍清明様の生まれ変わりのお孫様に十二神将様まで。」
いきなり話を振られて咥えていた唐揚げを急いで飲み込む。
「もぐもぐもぐ・・・ごっくん。あ、大丈夫よ?人間に害を成そうとしない限り手を出さないのが安倍家モットーですから。ねー?」
と、後ろに控える勾陳に同意を求めれば、微笑を返してくれる。
そして話の流れから八雲(雪女)が力を披露してそれを稲葉(九尾の狐)が褒めるというなんともいえない光景に加え、慈吾朗が稲葉をナンパしている(笑)。そんな様子を傍観しつつ、我関せずと言った感じで食事を続けている。
「そーいやさんは?八雲ちゃんが妖怪だって気づいてたの?」
「ん?うん。イタチちゃんとか稲葉先生も妖怪だって気づいてたしね?まぁ、あんまり害もなさそうだからほっといたけど。」
なんか周りの視線が「それでいいのか、大陰陽師の孫」とか言ってる気がするけどまぁその辺は無視する方向で。そんな感じで謎の宴会は進む。
混沌(と書いてカオスと読む)な宴会(笑)。
back