白銀の獣が紡ぐモノ 銀の瞳が映すもの編 act1
大国アングレの首都、ロンドラ。その広大な都市の南の外れにあるフォックス通り25番地。その建物の階段をを物凄い勢いで降りてくる一人の少女。
「エド!エドワード!助けてくれ!!」
守役のシーヴァが杖を取りに戻っていると、手すりにもたれかかって待っていたエドワードの前で少女は急停止。手すりに掴まり遠心力を使ってエドワードの後ろに隠れる。
「・・・おはよう、。今日はどうしたんだい?」
「・・・おはよう、エド。いつもの通りだよ。」
大きくため息を付くの姿は異国の神に仕える女性神官の服だそうだ。
「・・・いつも通りということは、またジェイドの着せ替え病かい?」
「うん。まったく・・・僕は人形ではないと言っているのに・・・。」
女性が”僕”なんていうものではないよ、とたしなめられるがそんなの耳に入っちゃいない。もっとも、はそんな風にエドワードに言われるような年でもないのだが。と、
「あら、おはようエドワード。今朝はおめかしね。」
階段の上から声がかけられた。寝巻きのままではあるが超いい笑顔でフリルの沢山付いたドレスを持った女性―ジェイド―が立っていた。もっとも、にはそれは悪魔の笑みにしか見えない。
「おはよう、ジェイド。まだ寝巻き姿なんて、具合でも悪いんですか?」
だったらあんなにいい笑顔でドレスを持って僕を追いかけてこない。というの呟きは綺麗にスルーされた。
「うーん、ちょっとと二人で楽しく飲みすぎちゃったのよねぇ。ハリエットに、酔い覚ましのお茶でも入れてもらって、可愛い可愛いにこのドレスを着てもらって目の保養にしようと思って。」
「僕は人形じゃないといっているだろう。いくら君が僕の主人でもコレだけは断固拒否する!」
エドワードの後ろから犬が毛を逆立てるような勢いで言ってもジェイドのほうはどこ吹く風。
「二日酔いするほど・・・ですか?」
ちらりとのほうを伺えば、半分以上ジェイド一人で飲んでいたと、小さく返ってくる。
「ああ、僕はシーヴァを待っているので、どうぞお先に。」
「ありがと。・・・あら?」
階段を下り、エドワードとまだ威嚇しているの隣をすり抜けようとしたジェイドは、ふと足を止めてエドワードを振り向く。
「何か?」
キョトンとするエドワードの額に、ジェイドは細い人差し指を突きつけた。不思議に思ってもエドワードの顔を覗き込む。そして、ああ、と納得のいった表情をする。
「エド、君の額に星が見えるよ。」
「星?・・・うっ。」
身長的にジェイドの胸元を突きつけられるような姿勢になってしまうエドワードは少々挙動不審になる。
「・・・ジェイド、離れてあげな。そう星。キラキラ輝いてる。いいことがあるよ。ね、ジェイド。」
「ええ。あんたは可愛いから、特別にタダで占ってあげるわね。・・・顔相から見て、きっと近々、誰かと素敵なご縁があるわ。逃がさないようになさい。」
「素敵なご縁?どんな人と?」
「さあ?綺麗なお嬢さんか、男好きの年増女か、それとも金持ちのパトロンか。それはこのジェイド様にも、”神に連なる力を持つ獣”であるにも分からないわね。」
「そーだねー。人間の運命って複雑だからね。」
ちょっと楽しそうに言うジェイドとにエドワードは少し不満げにする。
「ちぇ。中途半端な占いだなあ。」
「それが占いってものよ。ま、期待して待つことね、かわいこちゃん。・・・あーあ、頭が痛い。さすがに貴腐ワイン日本はきいたわ・・・あら?、あんたにもエドワードと同じ星があるわよ。」
「「え?」」
綺麗にはもった。
「、あんたもエドワードと一緒に行ってらっしゃい。楽しそうだわ。そうと決まれば、ほら、着替えるわよ!」
「ぎゃぁあああああ!」
「女の子がそんな声出すんじゃないの!」
を拉致して(え)階段を逆戻りしていくジェイドの顔はとてつもなくいい笑顔だった。
結局、エドワードの行き先が母校であるということを聞いたジェイドになんでもっているんだと突込みが入りそうな上等な服(男物)を着せられて、凄くいい笑顔なジェイドに送り出された。