白銀の獣が紡ぐモノ 銀の瞳が映すもの編 act10

その夕食後。三人は部屋で来客を迎えていた。
コレット校長の計らいで幽霊に襲われた生徒のうち、二人と話をすることになった。
一人目の犠牲者は既に学校にはいない。話をすることになったのは二人目のアディントン、三人目のバーンズだった。最初に部屋に来たのはバーンズで。

「・・・素晴らしい勢いで嫌味大会って感じなのは気のせい・・・?」
「・・・・・・・・・客観的に見るとそう見えるのでしょうね・・・。」
の呟きにシーヴァが苦笑する。
次にやってきたのは二番目に襲われたアディントン。こちらはエドワードと同じオーク寮に所属しているということもあり、素直に幽霊に襲われたときのことを語ってくれた。
幽霊は女であること、幽霊は他にも一緒にいたにもかかわらずアディントンにまっすぐ襲い掛かってきたということ、幽霊はナイフを持っていたこと、やはり何かを探しているようであったということ。そして、
「その・・・ボールドウィンの弟は、どうなんですか?本当に怪しいんですか?」
その言葉にエドワードの顔が険しくなる。それでもエドワードは冷静な口調で対応する。
「そういえば、君が襲われたとき、彼が近くにいたんだっけね。」
「ええ。僕は見ていませんが、見回りの先生が見つけたそうです。・・・他寮の生徒ですけど、みんなあいつは怪しいって噂してます。」
「君は、幽霊を呼び出しているって言う馬鹿みたいな噂、信じてるの?」
唐突にに声をかけられてアディントンはちょっと頬を赤くしてふと口ごもるように目をそらす。
「・・・・・・そういうわけじゃ、ありませんけど。でも・・・」
「でも?」
エドワードに促されて、アディントンは早口になる。
「寮の幹部交流会でシャンパンが出るのは、先輩もご存知でしょう?」
「え?何?酒盛り?」
「・・・ああ。幹部みんなで酔っ払って、優等生の仮面を脱ぎ捨てて憂さを晴らす、愛すべきパーティだ。・・・それが?」
「・・・・・・・・・憂さ晴らしかよ・・・。」
ちょっと頭イタイ。
「そのとき、酔っ払ったボールドウィン先輩が・・・あの、ティモシー・ボールドウィン先輩が、言ってたんです。トーヤは、普通じゃない。銀色の目で化け物を呼ぶ・・・って。」
「・・・銀色の・・・目・・・?」
「・・・ふうん・・・。」
「もちろん、冗談だと思ってます。でも・・・何だかこんなことがあると、つい思い出しちゃって。」
「エドワード様・・・。」
「エド・・・。」
昨日、教師が言っていたことと同じ。不安そうな顔を見合わせるエドワードとシーヴァの傍らで、は一人、面白いおもちゃを見つけた子供のような笑みを浮かべていた。
ギャグ?
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