白銀の獣が紡ぐモノ 銀の瞳が映すもの編 act11

夜中。日付が変わろうというころ。
は屋根の上にいた。シーヴァが見たら「女性がそんなところで何をしているんですか!」と物凄い勢いで食って掛かってきそうだが、まぁその辺は問題ない。なぜならば、
「・・・・・・・・・僕別に気配消してないよ・・・?」
反対側でシーヴァとトーヤが雑談中だからである。

シーヴァとトーヤの会話をBGMには今回の幽霊騒動について考える。
女の幽霊。
何かを探している。
数人の生徒がいた中で、一人だけを狙って襲い掛かった。
しかも、幽霊なのにナイフを持っている。
そして、
「『銀色の瞳』か・・・。久しぶり・・・かなぁ・・・『力』を持ってる人って。」
二人に聞こえないぐらいの小さな声で呟き、楽しそうに微笑む。
「ジェイドの言ってた『星』はあのこのことかな?だったら面白いなぁvv」
本当に楽しそうに、新しいおもちゃを見つけた子供のように、無邪気に微笑む。
「まあ、今回はそんなに僕が力を貸すこともないだろうけど・・・ふふふ・・・解放状態見せたらどんな反応するのかなぁ・・・楽しみだなぁ・・・。」
そこまで呟いて、はきゅっと表情を引き締める。その瞳は少し、寂しそうで。
「・・・・・・・・・嫌われたら・・・どうしようかなぁ・・・。」
眉をハの字に曲げて膝を抱える。
故郷の国にいた時だって。近くの村の子供たちともよく遊んだ。それでも、とても仲の良かった友達だって、の『本当の姿』や『解放状態』を見せれば、皆『化け物』だったり、『触れてはいけないもの』として、時に忌み嫌われ、時に恐れられ、時に崇められてきた。はただ、『人間』と仲良くしたかっただけ。『友達』が、欲しかっただけなのに。『友達』だから、隠し事を、したくなかっただけなのに。
「・・・大丈夫。僕は・・・大丈夫・・・。ジェイドは受け入れてくれたもん。ジェイドだって、言ってたじゃないか。あの二人なら大丈夫だって。・・・信じよう?ねぇ、信じて良いよね、母様・・・父様・・・。僕は・・・””は『人間』を信じます。何度裏切られても・・・何度・・・絶望しても。」

しばらくして、シーヴァとトーヤがいなくなったのを確認すると、は部屋に戻った。
ところがどっこい部屋にいなかったことがシーヴァにばれていて(先に戻ったシーヴァが気付かないわけがない)お小言を食らっていた。
シリアスー
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