白銀の獣が紡ぐモノ 銀の瞳が映すもの編 act14
そしてトーヤは話し始めた。
幼い頃のこと
母親のこと
母親の能力のこと
自分の能力のこと
「だから力を隠しつつも、死者の声を聞き、助け続けてきた?たったひとりで?」
「・・・うん。あ、でもそれは、母さんに言われたからじゃないぜ!俺がそうしたいって思ったからだからな!」
ムキになって言うトーヤに、エドワードとは苦笑する。
「わかってる。・・・しかし、つくづくみんな頭が固いな。普通の人間には望んでももてない能力じゃないか。僕なら猛烈に羨むぞ!」
「・・・エド・・・仕方ないよ。人間は理解できないものを認めようとしない生き物なんだから。」
「言うことが違うね。さすが、僕の!」
「・・・いつ僕はエドのものになったのかな?殴っていい?ねぇ本気で殴っていい?」
「・・・え?」
意外なエドワードとの反応にトーヤは呆然とする。シーヴァはそんな三人のカップにお代わりの紅茶を注いだ。
「エドワード様は、昔から妖精を見たいと草むらに半日潜んでおられたり、お化けが見たいと肝試しに出かけたりなさっていましたからね。それに、様は自称『神に連なる力を持つ獣』らしいですからね。」
「あー、やっぱシーヴァも信じてないなー。まー、人間なんてそんなもんかー、ちくしょー。」
「へ、へえ・・・。やっぱあんたたち、変わってんな・・・。」
「あー!君も馬鹿にしてるー!!(半泣)。」
「い・・・いやそういうわけじゃ・・・。」
感心を通り越して呆れ顔なトーヤにエドワードはあっけらかんとした笑顔で言う。
「やっとわかった。だからお前は、僕らがここに来た日の夜に『呼ばれた』なんて言葉を使ったのか。お前を呼んだのは、幽霊だったんだな。それならそうと、早く言え。ああ、やっとスッキリした!」
「俺の話・・・ホントに信じてくれるの・・・?」
「こんな嘘ついて、君が得することって無いでしょ?」
「そりゃ、そうだけど。」
エドワードは興奮したように言う。
「ならば、真実だ。トーヤ、教えてくれ。今、学校を騒がせている幽霊。あれは本当に、幽霊なのか?」
その問いに、トーヤは今度ははっきりと頷いて即答した。
「そうだよ。間違いなく、あの女の人は幽霊だ。それも・・・とても悲しい人。何か大事なものを、この学校に探しにきてる。」