白銀の獣が紡ぐモノ 銀の瞳が映すもの編 act15

エドワードとシーヴァはトーヤの言った言葉に首をかしげる。
「大事なもの?」
「うん。夜、寝てるとあの人の叫びが、泣き声が聞こえるんだ。」
「もしや、『あれはどこ?』『あれを返して?』か!?」
驚きの混じったエドワードの声に、トーヤはこちらも驚いた顔で問い返してきた。
「そう。・・・なんで知ってるの?もしかして、あんたたちも聞いた?」
「いや、僕じゃない。僕はまだ幽霊に会えていないんだ。昨夜、噴水にはあのトンチキ刑事が張ってたからな。ただ、幽霊に襲われた他の生徒・・・ファーガスとアディントンがそう言っていた。」
「ああ・・・。あの人の想いがあんまり強すぎるから。それで普通の生徒たちにも姿が見えるし、声も聞こえちゃうんだよ。それなのに、みんな怖がるばかりで、誰もあの人の話を聞いてあげない。だから・・・。」
「当たり前だよ。さっきも言ったけど、人間は人間の理屈で理解できないモノは理解しようとせず、恐れ、排除しようとする。それで、君が話を聞いてあげようとしたんだ。」
「うん。・・・あんまり悲しそうだったから、何か力になってあげたいと思って。それで、声が聞こえるたびに、あの人の気配を追って寮を抜け出したんだ。だけど、舎監に見つかってでそびれたり、行き着いたときにはもういなくなってたり、やっと会って話せると思ったら、先生に見つかっちゃったりでさ。だからまだ、ちゃんと話せてない。」
そう言って俯くトーヤをみて、は嬉しそうに微笑む。まだ、自分たちを”信じている”人間がいると、そう思うだけで、顔が綻んでくる。

「でもも何もあるか!よし、行くぞ!お前の級友たちを蹴散らしに!」
そんなエドワードの声で現実に引き戻されてみれば今にも校舎に殴りこみにでも行きそうなエドワードの姿とそれを必死で止めるシーヴァの姿。
様!様も止めてください!」
「え。いいんじゃない?男の子は喧嘩ぐらいできなくちゃ。」
は分かっているじゃないか!」
「エドワード様!様!」
「あ、でもエド。その格好で行ったら逆に返り討ちにされそうだね。」
「・・・あ。」
の言葉にエドワードはまだ自分が寝間着姿で顔も洗っていないことに気付いて非常口のマークのようなポーズのままフリーズした。
「「・・・・・・・・・ぷっ・・・・・・あはははは!」」
その格好にトーヤとは一緒になって爆笑した。

ギャグのほうが書きやすいんだよなー・・・。
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