白銀の獣が紡ぐモノ 銀の瞳が映すもの編 act17

トーヤを教室に送り届け、寮に戻ろうとしていたエドワードは回廊の途中で足を止めた。
「あれは・・・。」
「?どしたの、エド・・・あ。」
視線の先にはプライス警部補。中庭に行くのでなければ、ここを通って行く場所は一箇所しかない。
「・・・・・・僕もご一緒するかな。」
悪戯を思いついた子供のように呟くエドワードに苦笑しながら、適度に距離を保ってプライスのあとを追うエドワードに、もついて行った。
予想通り、プライスの目的地は校長室。プライスが扉をノック使用とするところにぐっとタイミングでエドワードは背中を叩いた。
「ぬお!な、何だお前ッ!」
「朝の挨拶はおはようだよ、プライスさん。校長室に用事かい?」
「・・・用がなきゃ、来ねえよ。お前もか、金髪。」
「グラッドストーン。僕は、たった今、用事ができた。」
「あ?」
「あなたが校長先生に何を話すのか、是非聞かなくてはね。」
「おい、お前なんかに聞かせるつもりは・・・。」
プライスが怒鳴るのを綺麗さっぱりスルーして、エドワードは扉をノックしてさっさと校長室に入ってしまった。
「・・・ご苦労様です、プライス警部補。」
「・・・なんだお前。」
「うっわ。やっぱ僕アウトオブ眼中だった!噴水のところで会ったんだけどな・・・まあいいや。僕は。一応エドワードの助手ということで。よろしく。」
「お・・・おう。」
にへら、と笑うに毒気を抜かれたようにプライスは返事をする。そして中に入ると机に向かって書類仕事をしていたコレット校長はちょっと驚いたように立ち上がった。
「おや、これは三人とも、何の用事かね?」
「自分は、お話しがあって伺いました。」
敬礼してそう言うプライスの隣で、エドワードはニッコリと笑ってのたまった。
「そして僕とは、お二人のお話を聞きに来ました。ご一緒しても?」
「おい、お前・・・。」
「いいとも。三人とも、学校の平和を取り戻すために励んでくれているのだ。是非とも仲良くやってもらいたい。」
微妙に”仲良く”のところが強調された気がしなくもないがその辺はスルーしておく。
そして勧められた椅子に、エドワードは長椅子のど真ん中(は後ろに立とうとしたらエドワードに強制的に隣に座らされた)、プライスはエドワードと距離を置くべく大きな身体で椅子の端っこに小さくなって座った。
校長が小間使いにお茶を持ってくるように指示してから始まったプライスの話は、もエドワードも、そしてももちろんコレット校長にとっても気分のいい話ではなかった。
プライスさんにようやく認識してもらいました(笑)。
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