白銀の獣が紡ぐモノ 銀の瞳が映すもの編 act23
次の日。朝食を済ませるとすぐ、エドワード、シーヴァ、そしての三人はカルムストック村に向かった。
そして古い台帳を村役場の机に積み上げ、三人は「エルシー」を求めて、黙々とページをめくり続け、それは昼過ぎまで続いた。
そのあとは昼食もとらずに村はずれの墓地へ。とてつもなく広い墓地を前にシーヴァは途方にくれた顔つきで、は目を見開いたままでエドワードを見た。
「この中から三人だけで目当ての墓を探し当てるのは、かなり骨の折れる仕事ですよ。しかも様のような女性にまでこのようなことを・・・。」
心配そうなシーヴァとは裏腹にエドワードは涼しい顔で言い放つ。
「探し回る必要はないさ。あそこに案内人がいる。」
「「案内人?」」
いぶかしむようにエドワードがステッキで指すほうを見れば、明らかに墓参りに来たのではない様な数人の男どもが立っている。傍から見たら怪しさ抜群だ。
「あれは・・・墓守ではないようですが。」
「あんな墓守は嫌だ・・・。」
「もちろん違うさ。行こう。」
眉間に皺を寄せるの肩をさりげなく抱きながら(速攻で叩き落とされた)歩き出すエドワードにシーヴァはついて行く。そして、
「おーい、プライスさん!」
まだ結構距離があるだろう場所から思いっきり名前を呼ばれれば驚くのも無理は無い。というか驚かないほうがびっくりだ。名前を呼ばれたプライスは物凄い勢いで三人のほうに全力疾走(そんなに距離も無いけど)。
「て・・・てめぇら!今度はここで何をしてやがる。」
「・・・プライス警部補。あなたこそ、いったい何を?」
温厚なシーヴァに問われ、それでもプライスは怒鳴る。
「何じゃねえ。ボンボンの腰巾着め。警察が墓場で遊ぶとでも思うのか!捜査だ、捜査。」
「ですよねー。」
「と仰いますと?」
「泥棒に荒らされた墓を、洗い直しているんだ。盗人がまだ何か証拠の品を落としておらんかと思ってな!ちっ、余計なことを喋っちまった。だからてめえらと遊んでる暇はねえんだよ。・・・お前、とか言ったな。こんな奴らと一緒にいたらろくなことねえぞ。」
「あはは、ご忠告痛み入りますー。」
真面目に聞く気も無いような口調で返せば、隣でエドワードがちょっとむっとした表情をしつつも、プライスに言い返す。
「ひどい言い様だなぁプライスさん。遊ぶ気などないさ。ちょうどよかった。僕らも墓に用があるんだ。」
「なぬ!」
面白いぐらいに反応するプライスには苦笑する。
「エルシー。エルシー・ハワードという女の墓を見なかったかい?」
「知るか。誰だ、そりゃ。」
「・・・荒らされた墓の中に、そんな人名を見なかったかな。それを期待して、ここまで来たんだけど。」
「おい、金髪。てめえ、何を企んでやがる。」
「墓が確認できたら企むつもりなんだ。・・・見なかったかい?」
そう言うとプライスは踵を返して歩き出す。それを三人でついていけばやはり、エルシーの墓はここにあった。しかも秋の初め、一番最初に荒らされた墓であることまで分かった。そして、エドワードはプライスに墓を開けてもらい墓穴に飛び込む。
「エドワード様!」
「おいっ、金髪!」
シーヴァとプライスが慌てる中、だけは冷静にその様子を見つめている。
「おい・・・てめえ、何やってんだ。」
「プライス刑事。紹介するよ。これが、あなたの追っている女幽霊だ。」
総断言するエドワードと目が合って、は笑顔で頷いた。
エドワードの言葉に、プライスは困惑した声を上げるが、エドワードの持ってきた証拠―刃こぼれしたナイフの欠片―を示され、さらにエルシーの持つナイフにこびりついた乾いた血を見て、納得するしか他ならない状況だった。
日本語おかしい気がしてしょうがない・・・!
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