白銀の獣が紡ぐモノ 銀の瞳が映すもの編 act28
それから二週間。
エドワードの部屋ではエドワードがシーヴァをからかい、エドワードはシーヴァに怒られ、それをハリエットが微笑ましそうに見つめる。そんな一日の中。
バン!
今日も今日とて部屋の扉が破壊されんばかりに開かれる。
「
エドワード!助けろ!!
」
「おや、今日はまた素敵な服だね。ジェイドの見立てかい?」
「・・・嫌味か?嫌味なのか?畜生・・・!」
ぐわー!と吠えるの姿は黒に赤い薔薇の花の模様の入ったチャイナドレス。足のところには大胆にスリットが入っている。どっから調達してきたんだという突っ込みはスルーしてください。
しかもそれにあわせて髪もアップにまとめられ、化粧までされている。とことん着せ替え人形状態だ。
と、
コンコン!
「げ。」
「どうぞ!」
「お邪魔するわよ。ごきげんよう、エドワード、シーヴァ。あら。、こんなところにいたのねv」
超いい笑顔で部屋に入ってきたのはジェイド。
今日は来客の予定があるのだろう。ロイヤルブルーのドレスにダイヤモンドのペンダント。おそらくの着せ替え人形状態もこのためだろう。
「ごきげんよう、ジェイド。何かご用でも?」
エドワードもシーヴァも即座に席を立ち、挨拶を返す。
「ねえ、さっきあんたたちの部屋から出てきたハリエット、クランベリーみたいに赤い顔してたけど、どうしたの?まさかシーヴァ、彼女のお尻でも触ったんじゃないでしょうね?」
「え?せくはら?」
「そ、そんなことするわけが!」
ムキになって言い返すシーヴァを面白そうに見て、エドワードはテーブルを示す。
「まさか。僕が、少々のお節介をしただけですよ。よろしければ、お茶をご一緒に。」
「いいえ、結構よ。それより、覚えてる?あんたが旅に出る前、あたしとが占ってあげたこと。」
「・・・ああ。いい出会いがあるとか何とか?僕の額に吉兆の星が見えたとか。」
「そうそう。あんたの額に浮かんでたお星様に足が生えて、ここに来てるわ。」
「は?星に、足が・・・ですか?」
「ええ。あんたに負けず劣らずのかわいこちゃんよ。さ、お入んなさい、坊や。」
そう言って、ジェイドが手招きして入ってきたのは―トーヤ・ボールドウィン―
「「トーヤ?」」
とエドワードの声がはもる。
「さっき、お客を送って出たら、この子が玄関先でモジモジしてたのよ。だから連れてきてあげたの。」
「・・・僕はその間に逃げてきたのさ・・・!」
あうーと半泣きになるにちょっと同情の視線が集まる。ご愁傷様。
「・・・・・・ありがとう、ジェイド。それと、、似合ってるよ?」
「嬉しくない!」
「どういたしまして。お礼に、若さをちょっといただいていこうかしら。」
そう言ってジェイドはトーヤの頬にキスをすると呆気にとられる一同を尻目にを強制連行して去っていった。何だか物凄い悲鳴が聞こえた気がしたが気のせいということにしておいたほうが身のためだ。
その夜。帰ってきたはトーヤがグラッドストーン探偵事務所の一員になったことを知らされ、笑顔でトーヤに抱きつた。そのとき、エドワードの背後に真っ黒いモノが見えた気がしたのは気のせいということにしておこう(笑)。
ひとまず終了。ジェイドに着せ替え人形にされる主人公のうろたえっぷりが凄く楽しい(笑)。
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