トーヤの話によると言われたとおりに見張っていたところ寒気がし、老化を黒い影が通っていったように見えたため部屋から飛び出すとやはりそこには黒い影が立っていたという。それに対して声を上げたが影は振り向きもせず、この老夫婦の部屋の前で闇に溶けるように消えたらしい。
トーヤの話を聞き終えると取り合えず宿泊客である老人を移動させ、現場の保存をすることにした。付き添いをトーヤに頼むとエドワードは警察が来る前にと部屋の中を確認する。その間もは虚空を睨みつけたまま何かを感じろうとするかのように微動だにしない。そんなの様子に前回の事件でのことを思い出し、エドワードとシーヴァはの好きなようにさせる。
「。」
「・・・ん?」
しばらくして部屋の確認が終わったのだろう。エドワードがに声をかけると少し間があったものの何時ものように応じる。・・・少々眉間に皺が寄ったままだが。
「は何か感じるのか?」
「何かって?」
「・・・トーヤ様の瞳が・・・、」
「・・・あぁ、銀になったんだね。」
なるほど、といったように頷くサヤは眉をハの字にして申し訳なさそうに応える。
「うん。確実に”何”がいるっていうのは気配が薄くてよく解らないけど・・・、”何”かがいるのは、間違いないと思うよ。」
それを聞いてエドワードとシーヴァの表情が引き締まる。
「妖しがらみだとしたら、通常の捜査とは違う切り口で仕事を進める必要があるな。・・・それにしても、シーヴァ。」
「はい?」
「バルフォア校の事件では、幽霊の重いがあまりに強くて、僕ら凡人にも姿が見えた。だが、いつもいつもそういう幸運に恵まれるわけではあるまい。はともかく・・・お前、霊感はあるのか?」
ご尤もなご意見です。
「まさか。お忘れですか?故郷のお屋敷は古いので、幽霊話がいくつもありました。けれど、わたしは一度たりとてそんなものを見たことはありませんよ。」
「僕もだ。・・・下の兄は、以前、中庭を歩く白い女の影を見たと言っていたが、本当かどうか怪しいものだしな。」
「ロジャー様がそんなことを?」
「僕が幼い頃に。どうせ、僕を怖がらせて遊ぼうと思ったんだろう。あの人は、そういう妙なところで子供っぽいからな。」
溜息をついて言うエドワードには苦笑して言う。
「そうでもないかもよ。僕の生まれ故郷のほうではね、”九十九神”って言ってね、長い年月を経たものには魂が宿るって信じられているんだ。エドの生まれ故郷のお屋敷がどれくらい古いのかわからないけど、それなりの年月を経ていればそうやって魂を宿したものがひとつやふたつ合ったとしてもおかしくないよ?」
それにエドワードとシーヴァは、なるほど、といった顔をし、次には険しい表情に戻る。
「問題は、そんなことじゃない。バルフォア校の事件以来ずっと漠然と思っていたんだが・・・。妖しや幽霊の類を見ることが出来るのがトーヤとだけというのは、どうにも不都合だな。」
「と、仰いますと?」
「トーヤの言葉を使うつもりはさらさらないが、探偵に必要なのは客観的な姿勢だ。自分に見えもしないものを、存在するものとして第三者に・・・特に依頼人に語るわけにはいかないだろう。たとえそれが真実だとしてもな。」
シーヴァともそれには難しい顔をする。
「それは・・・確かに。ですが、霊感の無い我々が、トーヤ様や様と同じような能力を獲得する手段など、この世にあるのでしょうか。」
「そんな方法、見当もつかないから、こうして長々と考え続けているんじゃないか。そんなこと、トーヤに訊ねても、あいつを混乱させるばかりだろうからな。は規格外だし。」
「あれ?僕あうと・おぶ・眼中?」
「ご自分の能力を人々のために・・・そして迷える魂たちのために生かしたいと、今のトーヤ様はとても前向きに思っておいでです。その能力のせいで、我々に気兼ねさせてしまうようなことは、避けたいですね。」
「無視された!?」
「ああ。どうしたものやら。」
「ねぇ泣いていい?僕泣いていい?」
体育座り再び(笑)。
いろいろと知識的なところはうぃきぺでぃあ様にお世話になっております(爆)。
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