白銀の獣が紡ぐモノ 白き古城に眠るもの編 act10

「・・・ふん、つまりお前らは、この宿に深夜出没するという謎の人影の正体を突き止めるため、昨日ここに来た・・・と、そういうわけだな?」
「そいうだよ。」
食堂のテーブルを挟んでおっとりと微笑むエドワードとは対照的にプライスはイライラと貧乏ゆすりをしながらごつい指でテーブルを叩いている。オチツケー(笑)。
「で、夜中に見張っていたら、カラス小僧が怪しい人影を見たと。」
「トーヤ・アカホシだ!」
さすがにこれには突っ込みが入った。まぁカラスは無いよなカラスは。そして始まるトーヤv.sプライスの舌戦。・・・黙っているって言った奴は何処行ったー(苦笑)。
そんなやり取りもシーヴァの呆れた声に遮られ強制終了。
「と、とにかくだ。お前、本当に人影を見たんだろうな?」
「見たよ!嘘なんか言わねえ。」
「で、その人影が隣の・・・あの老夫婦の部屋に入ったってか?」
この問いにはさすがにトーヤも少し唸る。
「正直、よくわかんない。」
「ああ?わからんだと?」
「だって、急に消えたんだよ。廊下は暗いし、あいつは黒い布をすっぽりかぶってたし、マジでわかんないんだってば。でも、しばらくして、爺さんの叫び声が聞こえてきたんだ。で、他んとこ見張ってたアトウッドさんと、エドワードとも飛んできた。ロレンスさんも。」
「ふん。そこから先のことは、ロレンスと爺さんから話を聞いた。・・・だが、どうにもわからんのだなあ。」
「なんで?」
「ロレンスさんの供述は創造がつくけれど・・・ご老体は何と?」
が首をかしげ、エドワードは自然に先を促す。
曰く、眠っていたらトーヤの怒鳴り声で目が覚め、灯りをつけようと起き上がったところ闇の中に突然大きな人影が近づいてきて隣の夫人のほうに屈みこんできた。そして夫人は一言小さな声を発しただけでそのまま動かなくなってしまったという。老人のほうが恐怖で動けない間に影は掻き消えてしまったらしい。
その応えにエドワードはひとつ頷き、は渋い顔をする。
「現場検証の途中経過を聞く限り、お前らの話と合致する。扉のかんぬきはガッチリ掛かっていたようだし、戸締りも完璧だ。誰かが外から侵入した形跡は無い。・・・俺ぁな、あの爺さんは夢でも見てたんじゃないかと踏んでんだ。年寄りのこった、夢と現実がごちゃ混ぜになることがあってもおかしかねぇ。」
「ちょ・・・待てよ、じゃ、俺の話はどうなるんだよっ!」
やっぱりプライスの推論に噛み付いたのはトーヤで。今度はエドワードの老婦人死亡の件について尋ねられることで止まった。そしてさらにプライスの部下が部屋に入ってくることでさらに状況は変わる。
「はっ、ただいま、村の医者に検死をさせたのでありますが・・・少々不思議な所見が見受けられるようであります。お手数ですが、警部補どのに死体を見ていただきたいと!」
プライスの部下の言葉を聴くと誰とも無く顔を見合わせて頷き、
「おい、大人しく座ってろ。お前らにわざわざ検死結果を教えてやるつもりはさらさらねえんだよ!」
「えー、いいじゃん。もしかしたらまたお役に立てるかもしれませんよ?」
「うっ・・・うううううううう。」
にっこり微笑ってに痛いところをザックリ刺されたプライスは悔しげに唸り警察としての責務と事件解決のための手段を天秤にかけて・・・手段が勝ったらしい。「好きにしろ!」と吐き捨てるとエドワードたちを押しのけ、いちばんに食堂を出て行く。
「さて、お許しも出たことだし、行こうか。」
「おー!」
ジャケットの襟を正して当たり前のようにをエスコートしながら、エドワードは楽しげに言った。
プライスさん出すとなんかギャグちっくになるのはなぜ…?(笑)。
back