白銀の獣が紡ぐモノ 白き古城に眠るもの編 act13

食事が終わって、やはり地下室を調べることとなった達は現在、地下室の入口前に立っていた。・・・なぜかプライスも一緒に。宿泊客であった老人を送って、戻ってきたらしい。・・・なんだろう、さすがと言えばさすがなのだろう。うん。それ以上は何も言うまい。そして、出発までにいろいろとひと悶着合ったが(何時ものこと)、
「・・・ここか・・・、わざわざ隠し扉たあ、やってくれるじゃねえか。現場検証のとき、部下たちの誰も気付かなかったはずだ。」
生唾を飲みながらも精一杯の威勢を張るプライスには苦笑する。
「エドワード様、これが破られた封印ですね。」
シーヴァがランタンで照らしたそこには頑丈そうな二本のかんぬきが取り付けられ、その上に古代文字らしき複雑な文様の書き込まれた紙が扉から壁にかけてしっかり貼り付けられていた。だが、今その封印は、完膚なきまでに破られている。
「ふん?こんな紙切れ一枚で、魔物ってなあ閉じ込められるのか?」
「出来るよ。ちょっと触ってみて。」
に促され、プライスは封印に触れた。そして、あっと声を上げて手を引いた。
「何だこれ。えらく熱いぞ。火に掛けた鍋を触っちまったときみたいな感じがした。」
「それだけ、この封印を施した神官の霊力が高かったってことだね。」
「四百年経過して、しかも破れているのにまだそれだけの威力があるとは。」
「なるほど。魔物だって、熱いのは嫌だろうからな。」
「炎の属性を持った奴も要るけどね。」
突っ込み禁止。
、エドワード、トーヤがふむ、と意見を交わしている隣でプライスの思考は高速回転中。どれだけ奇想天外なことでも自分自身で経験してしまえば現実として受け止められる。単純明快な思考を持った刑事は、赤くなってヒリヒリと痛む手を振りながらキッと扉を見据えた。
「とにかく、中に入ってみようぜ。封印が破られてるってことは、中に入れるんだろ?」
「ええ。現にロレンス様は、ここを貯蔵庫に使っておられるそうですから。」
シーヴァはそう言ってかんぬきを外す。
「よし。中に入るぞ!」
と、気合を入れて中に入ろうとしたプライスをすり抜けて、
「俺がいっちばん!」
物凄くお子様根性むき出しな感じでトーヤが地下室に飛び込んだ。
「あ、おい、このクソガキ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魔物の妖気に当てられてぶっ倒れたのもう忘れたのかな・・・?」
「・・・まぁ、トーヤだから。」
とか何とか言いつつ、何時もの調子でトーヤを追いかけるプライスの後ろを警戒しながら、エドワード、シーヴァと続いた。
「・・・んー・・・、」
部屋の中心に立ったトーヤはランタンを頭の上に掲げ、なんとか部屋全体を照らし出す。因みに思いのほか天井の低い地下室に、大柄なプライスは頭をぶつけそうになっているのは言うまでもない。
「トーヤ、、どうだ?」
「・・・うっすら鳥肌立ってら。でも・・・うん。エドワード、俺の目、黒いだろ?」
「ああ。」
「だね。魔物自身がいる感じは無いけど、妖気の残滓はある。ちょっと前までここにいたって感じかな。」
「・・・なるほど。」
「皆さん、ここにいらしてください。」
部屋の奥のほうを調べていたシーヴァが、声を上げた。一同は乾いた藁を踏んでそちらへ向かった。
シリアス連発中(笑)。
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