白銀の獣が紡ぐモノ 銀の瞳が映すもの編 act8
「・・・エドが大人をいぢめてる・・・。」
ぼそりと呟いたの声は二人には届いていない。
「じゃあ、警部補どののお見立てを拝聴してもいいかな?幽霊の正体をどう思う?」
いい争い(男の名前はケビン・プライスというらしい)がひと段落つき、今回の事件についての意見交換を求めるエドワードをプライスは突っぱねるが、そこはエドワード。さらりとかわす。
「あ、いや。・・・その、幽霊の正体・・・は、まだ・・・いやっ、そ、そうだ、操作上の秘密だッ。だが、幽霊騒ぎの黒幕は掴んでいる!解決は時間の問題だ。」
「黒幕?」
エドワードとシーヴァが顔を見合わせる。そして案の定、それはトーヤのことで。
「だが、誰が見たって、奴が怪しいことは明々白々だ。しかも、こっちが宥めてすかしても脅しても、憎たらしくふてくされて、だんまりを通してるんだぜ。貴族のガキじゃなけりゃ、しょっぴいて締め上げてるところだ。」
素晴らしい心意気で。は呆れたように大きくため息を付く。それでようやくの存在に気付いたようにプライスがこちらを振り向く。
「・・・なんだ、こい「トーヤは犯人じゃないよ。間違いなく。」は?」
断言するにプライスだけでなく、エドワードとシーヴァもぽかんとする。
「、その根拠は?」
「今君らに言っても信じないでしょ?僕が”人”では無いって。」
エドワードの問いにあっさりと答えるに三人は固まる。
「それにね、もしトーヤが本当に幽霊を装って、生徒を脅かしているとして、目的を果たしたら、一目散に逃げると思うんだよね。っていうか僕、小さい頃よくいたずらしたときとかそうしてたし。話を聞いた限り、トーヤはいつも心ここに非ずって感じで、その場に突っ立ってたって。わざわざ自分から見つかるようなこと、する?」
「ぐっ。」
にぃっとアリスのチェシャ猫のような笑みを浮かべるにエドワードの援護射撃が入る。
「うん、確かに。おまけに、昨夜襲われたのは、入学して間もない一年坊主だぞ。トーヤとは寮も違うし、下級生だ。いじめが原因とは思えない。」
「うっ・・・!」
すんごく分かりやすく詰まった。
「だ、だがっ!生徒の中には、奴が怪しい魔術を使うらしいと噂している者もいるんだぞ!怪しいことには違いない。」
「それは単に、トーヤの外見が黒髪・黒い目で見慣れないからだろう。そんなこといったらも怪しいことになってしまう。警察が人間を容貌で差別することを認めるのかい、プライスさん?」
「そんなつもりはないが、しかし・・・。」
プライスの弁解もお構い無しにエドワードは自分の見解を示せば、プライスもそれに食いつく。再びは蚊帳の外。
「・・・・・・・・・・・・シーヴァ、僕いなくても良くない?」
「・・・あなたがいなくなられるとエドワード様のご機嫌が急降下いたしますので、我慢してください。」
「・・・うぃ。」
そんな会話をしている間にようやく情報交換は終わったらしく、プライスはなんだが機嫌悪そうに去って行った。
「相変わらずな方ですねえ。」
「エド〜、終わった?」
とシーヴァがそれぞれ声をかければエドワードは微笑みながら返してくる。
「可愛い男じゃないか。あの分だと、僕らが来て余計に張り切ることにだろう。」
そう言いながらさりげなくに抱きついてくるエドワードを振り切るのもいい加減諦めたらしい。普通ならば窘めるシーヴァも注意しても意味が無いと思っているのか注意しない(大問題)。
「エド、冷たい。」
「は暖かいね。」
「そりゃどーも。」
「・・・学校にご迷惑がかかるようなことにならなければいいのですが。」
「そうなる前に、僕らが事件を解決すればいいだけのことだ。捜査を続けよう。も、何か気付いたことがあったら教えてくれ。」
「ん。」
気がすんだのかから離れて真剣な表情をする。いつもこうなら良いのに。とか思ったのは秘密だ。
「エドワード様、次はどちらを?」
「念のため、一度フィア寮まで歩いてみよう。ファーガスの足取りを辿ってみたい。」
「わかりました。」
エドワードはファーガスの学生証をコートのポケットに入れ、歩き出す。とシーヴァもその後を追った。
ギャグなのかシリアスなのかわかんない・・・!
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