夕暮れの薔薇園
「アリスー!」
「へ?」
夕暮れ迫る帽子屋屋敷薔薇園。
がばぁ!と音がしそうな勢いで後から抱きつかれたアリスはそのまま潰れた。
「・・・・・・お願い・・・いきなり抱きつかないで・・・。」
「えへv」
「えへvじゃない。えへvじゃ。」
むにーっとと呼んだ少女の頬を抓る。
「まったくもー。・・・薔薇が潰れたらブラッドに殺されるわよー。」
「ふふん。そう易々と殺されてたまるもんですか。」
「・・・そうね。あなたもなんだかんだいって強いものね。」
そう言うアリスの視線は少女の腰に下げられた剣。
フリフリのゴシックロリータの少女にはおおよそ似合わない代物だが、この世界では常識だ。
「強いよーvvあたし。兄さんと喧嘩したことあるけど、負けなかったもん!」
「・・・まじ?」
「まじ。」
うわぁ・・・という顔をするアリス。あのブラッドと喧嘩して負けなかったというのだからかなり強いんだろう。
「で、今日はどうしたの?」
「ん?アリスに会いたかったからvv」
それだけvvと後にハートマークを飛ばす。
それだけで敵地に入り込んでくるか普通。まぁ、この薔薇園にはビバルディも入ることを許されているのだから、ビバルディとブラッドの妹であるが入っても咎められたりはしないだろうが。
「・・・わざわざ来なくても、また行くわよ。遊園地。」
「でもすぐ会いたかったんだもん。アリスいつ来るかわかんないしー。」
えへへーvvと笑いながらはアリスに抱きつく。
その姿は普段、敵の兵士達に遭遇すれば容赦なく剣を振るう姿からは想像もできない無邪気な少女。
その姿にアリスははぁ、とひとつため息をつく。
「溜息つくと幸せが一個逃げてくんだよー?」
抱きついたままが言う。
「・・・そうね。でも、あたし今ものすごく幸せだから一個くらい逃げてもどうってことないかも。」
「アリス、幸せ?」
「うん。幸せよ。」
「アリスが幸せならあたしも幸せだなvv」
ぎゅーっとはアリスを抱きしめる。アリスもを抱きしめる。
――本当に、残ってよかった。――
アリスは真っ赤に染まる空を見つめ、心の底からそう思った。
やっちゃったー!(笑)。えへvv(殴)。
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