華の香りと共に
「ちょりーっす、ひーちゃんひっさしぶりーvv」
そう言っていきなり現れた黒髪の女性にフリーズした。
一番最初に正気に戻ったのは「ひーちゃん」と呼ばれた紗那王。思いっきり眉間に皺を寄せて女性に視線を向ける。
「・・・・・・・・・・・・・・・華香王・・・・・・いや、・・・なにをしに来た?」
形のいい眉を思いっきり歪めて目の前でニコニコと笑う黒髪の女性を睨みつける。
「そんなに睨まないでよぉひーちゃんvv綺麗なお顔が台無しよんvv」
「気持ち悪い。」
「ひっどぉいvv」
きゃっvと可愛らしく言う華香王基と呼ばれた女性を一刀両断する紗那王にもう着いて行けなくなっている。
「えっと・・・紗那王・・・?この人は・・・?」
「ん?君がひーちゃんの憑き主?はじめましてーvvあたしの名前は。またの名を華香王。そして晴綯の双子の姉です!よろしく!」
「・・・えぇぇぇええええ!一蝶さんのお姉さん?!え?!ってことは・・・」
「私の従妹だ。」
未だに眉間の思いっきり皺を寄せてそう答える紗那王に桐緒はぷちぱにっく(笑)。
紗那王と一緒に酒を呑んでいた鷹一郎は相変わらずな感じだし、千代は千代でもう一人分のつまみの用意に台所に消えているし、化丸は・・・なんか威嚇してる。
「で、。私は何をしに来たと聞いているのだが?」
不機嫌マックス!(笑)。桐緒の顔がちょっと引きつっているのを見ては桐緒ににっこりと微笑んで
ぎゅう。
「きゃぁ!」
「っ!」
思いっきり抱きついた。それを見た紗那王の不機嫌ゲージはさらに上昇。今にも振り切れる寸前(え)。
「・・・・・・・・・・・・
桐緒から離れろ・・・。
」
わぁ・・・。
超怖ぇ・・・。
もう、怒りオーラで紗那王の銀の髪は重力に逆らいゆらゆらと揺れている。
「ひーちゃんーそんなに怒らないでよー。はるがさー、ひーちゃんが新しい憑き主見っけたってつーからさー。凄い可愛い子だっていうからどんな子かなって思って挨拶に来ただけよん。大丈夫だよー、ひーちゃんからとったりしないからー。
多分。
」
「
多分とは何だ多分とは。
」
「あはは。ひーちゃんは短気だなぁ。」
の腕の中に閉じ込められたままそのやり取りを聞いてた桐緒は唖然としていた。紗那王が遊ばれている。紗那王をいじり倒すことが出来るのは兄である松寿王だけだと思っていた。
「・・・・・・・・・それにしても、お前、あやつからよく逃げられたな。」
「うん。まぁ一刻半(約三時間)ほど鬼ごっこしたけどね。まったくはるは”まざこん”な上に”しすこん”だからなぁ。」
「そういうお前も”ぶらこん”だろう。」
「否定はしなーい。」
そう言っては桐緒を解放するとひょいっと庭に下りる。そこへちょうど千代が戻ってきた。
「あら、もうお帰りになられるんですか?」
「うん。実はあーちゃんに呼ばれてるんだ。その途中。また遊びに来るよ。そのときは先に文でも寄越すから。今度はいろいろお話しようねv桐緒ちゃん?」
「あ、はい・・・。」
そう言っては懐から扇を取り出すとひらりと振ってみせる。するとそこに現れたのは赤い薔薇の蕾。
「はい、これは驚かしちゃったお詫び。薔薇って花だよ。蕾の花言葉は『愛らしさ』。」
「花・・・言葉?」
「そ。草花には一つ一つ意味がある。外の国では花に意味をこめて贈る習慣もあるくらいだからね。」
にっこりと笑って、は踵を返す。
「じゃーねー、皆の衆!!」
扇を一振りするとの姿は桜の花吹雪に包まれ、次の瞬間には花吹雪と共に消えていた。
「・・・・・・・・・本当に何をしに来たんだ・・・は・・・。」
「綺麗な人だったねー、紗那王。あたしはまたお話してみたいな。・・・少なくとも雅陽さんや茶々姫よりはまともにお話できそうだわ・・・。」
「・・・・・・・・・その辺りは否定はしないな。」
それからしばらくして。風祭道場の縁側で桐緒とが金しゃち饅頭を頬張りながら仲良く雑談している姿がちょくちょく目撃されるようになった。
突発的に思いついたネタ!ただ単に”しすこん”とか”ぶらこん”とか言わせたかっただけという!(爆)。
主人公の外見はお柚羅の方さまそっくりということでー(笑)。
一蝶の姉というだけ合ってちょっちキザっぽいでーす(笑)。
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