snowy death
グレルのデス・サイズが振り下ろされ、グレル自身を切り裂こうとした瞬間、その刃は別の刃によって阻まれた。
セバスチャンとシエルが刃を止めた刃の伸びる方向を振り仰ぐ。そこに立っていたのは、
オールバックに黒いスーツの男性。そして真っ白な長い髪に真っ白なパンツスーツに身を包んだ女性。
「お話中失礼いたします。私、死神派遣協会管理課のウィリアム・T・スピアーズと申します。」
「同じく、死神派遣協会管理課、・サトクリフ。」
「「そこの死神を引き取りに参りました。」」
そう言って屋根の上から飛び降りてくる。
「ウィル!ウィリアム!姉さん!助けに来てくれたの
ぶぇ!
」
「んな分けないでしょー、こんの愚弟が!規則じゃなかったら見捨ててるわよヴァカ!」
「派遣員グレル・サトクリフ。貴方は規定違反を犯しました。まず、死亡者リストにない者の殺害。次に使用許可申請書を提出していないデス・サイズの使用。そして、最後に死者の死亡原因またその殺害者に関する情報の漏洩未遂。」
ウィリアムは思いっきりグレルの頭の上に着地し、淡々とグレルの規定違反を読み上げ、その間はグチグチと弟に対する呪いの言葉のようなモノを永延吐き続ける。
そしてウィリアムは読み上げが完了すると何事もなかったかのようにグレルの頭の上からのく。今度はが足蹴にしているがまぁそこは無視する方向で。
「このたびはコレが大変ご迷惑を。あぁこれ私の名刺です。」
「本当に申し訳ありませんでした。おら!グレル!!帰ったらどうなるか分かってんでしょうね!?あ、すいません。これあたしの名刺です。」
「ひぃ!」
名刺を渡しながらぐりぐりと足に力を入れている。なんか物凄く脅えたような小さな悲鳴が聞こえたけど同情の余地は無い。
「全く、よりによって貴方のような害獣に頭を下げることになるとは。死神の面汚しもいいところだ。」
「ほんとよねー。あたしのウィルにこんな汚れ仕事させるなんて・・・!グレル!あんたのせいだからね!」
なんか理不尽だ!
「ではその害獣に迷惑をかけないようしっかり見張って置いてください。」
「ええ、そりゃもちろん。帰ったらしっかりお仕置きして首輪つけておきますよ。」
セバスチャンの嫌味にもはにっこりと微笑む。
「人間は誘惑に弱い。地獄のような絶望の淵に立たされたとき、目の前にそこから脱却できる蜘蛛の糸が現れたら必ず、すがってしまう。どんな人間でもね。」
「それに漬け込んで人間を誑かし、寄生しているのが貴方たち悪魔でしょう。」
「否定はしませんが。」
「首輪が付いた飼い犬の分、節操の無い狂犬どもより幾分ましなようですがね。」
セバスチャンとウィリアムの嫌味合戦の最中もはグレルを足蹴にすることを忘れない。おかげでグレルはちょっと魂抜けかけている。もっとも死神が魂抜けるとかあるのか不明だが。
「さ、帰りますよ、グレル・サトクリフ。まったく、ただでさえ人手不足なのに今日も定時であがれないじゃないですか・・・。総務からまたそうとう言われますよ・・・。残業時間が・・・」
「デートも出来ないじゃなのよねー。次はちゃんと休み取れそう?」
「あぁ、その辺は大丈夫ですよ。無理矢理もぎ取ってやりましたから。」
「よし!」
そんな会話をしながら帰ろうとしたとき、
ガキィン!
「お忘れものですよ。」
「どうも。」
グレルのデス・サイズがスピードでウィリアム目掛けて投げつけられた。ウィリアムはそれを軽々と受け止めるとぽいっとごみでも捨てるかのようにグレルの上に放る。
「ぐぇ!」
なんだか蛙が潰れたような声が聞こえたが無視(え)。
「では、失礼いたします。」
「あ、ちょっと待ち!あたし仕事してない!」
グレルの髪を引いて立ち去ろうとウィリアムを制しては持っていた日本刀を取り出す。血を流し、既に心臓の鼓動の止まったマダム・レッドの傍らに膝を付く。
「アンジェリーナ・ダレス。貴女はまだ死ぬべき宿命では無い。その罪、生きて償いなさい。」
そう言うと呆然とするシエルの目の前で、その傷口に日本刀を突き立てた。
「なっ!」
驚くシエルの目の前で、先ほどマダムの身体から流れ出た『
走馬灯劇場
シネマティックレコード
』がその身体に戻って行く。そしてそれがすべて吸収され、が日本刀を引き抜くと、
「・・・傷口が・・・消えている・・・?」
「ええ。アンジェリーナ・ダレスを蘇らせました。あたしの能力は異端の能力。死した魂を冥界から呼び戻す。死では贖うことの出来ない罪を持つ者へ、生の罰を。」
そう言っては刀を鞘にしまう。
「そしてその代償として、アンジェリーナ・ダレスからは自身が最も愛し、最も憎んだ自身の『色』を頂きます。」
は懐から小さな箱を取り出し蓋を開けるとそこにマダムが纏っていた『色』―赤―が吸い込まれていく。
「はい。これであたしの仕事は終わり!ウィル~!お待たせ!」
「では、帰りましょう、。」
ずるずるとグレルを引きずるウィリアムと、それを景気よく蹴り飛ばすグレルの姉、を、セバスチャンとシエルは呆然と見送った。
その後、マダムはシエルに保護さることとなり、『
切り裂きジャック
ジャック・ザ・リッパー
事件』は幕を閉じた。
初黒執事がこんなんでいいのか・・・。そしてマイナーにもほどがあるだろうと突っ込みを入れたくなる今日この頃。
そして設定がめちゃくちゃだ・・・。
一応主人公のデス・サイズは『犬夜叉』の天生牙と『BLEACH』の斬魄刀がモデルということでー(え)。
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