それからしばらくして、空幻が封印されたという話をも聞いた。しかし、はまだ人界へ姿を現す許しを与えられていなかった。は悔しさに身を震わせながらも修行を続けた。
そして何百年もがすぎ、やっとは人界へ渡る許可を得た。
空幻の封印もとかれたと聞いた。
は空幻の気配を追った。そして、そこに居たのは人間の中で楽しそうに笑う空幻の姿。
「姉さま・・・。」
―人間の都合で祭り上げられ、そして封印され、また人間の都合で封印をとかれたというのに、人間の中であんなに楽しそうに笑っている・・・。―
は人間に復讐しようとしていた自分を恥じた。
「私は・・・姉さまの前に姿を見せる資格はございません・・・。」
そう呟いて姿を消そうとしたそのとき、
「!」
ガバ!
「うひゃぁ!」
後ろから抱きつかれた。
「じゃないか。久しぶりだな!!」
「空幻姉さま!」
は驚いて振り向く。
「どうした?おまえもやっと許可を貰ったんだな。俺に会いに来たんだろう。何でそんなところに隠れているんだ?」
は申し訳なさそうにうつむく。
「私は、姉さまに顔向けする資格なんてないのです。私は人間に復讐しようとしていました。自分たちの都合で姉さまをいいように使う人間どもに・・・。でも・・・姉さまが楽しそうにしてらっしゃるのを見て・・・自分が恥ずかしくて・・・。」
たんたんと言うに空幻はぷっと噴出す。
「かっかっか!俺様がそんなちっさいことを気にすると思うか?!確かに最初は少々むかついたがな。今はそんなこと気にしてないぞ!お前も気にするな!!」
そう言って空幻はの肩をばしばしと叩く。
「おーい!クー!何やってんだー!!」
少しはなれたところから昇が呼ぶ声がする。
「ちょっと待て!そうだ!お前に俺が今守りをしている兄弟を紹介してやる!来い!」
「あ!姉さま!!」
あわてるを無視して空幻はの腕をぐんぐんと引っ張っていく。
そんな空幻にはいつの間にか笑みをこぼす。
「ほら!早く来い!」
「はい!」
は空幻のあとを、銀の髪を揺らして満面の笑みで追っていった。