あなたに逢いたくて

「姉さま!」
か。」
金髪の美女が後ろからかけてくる銀髪に青い目の少女にやわらかな笑みを向ける。
「姉さま、本当に行ってしまわれるのですか?あんな・・・人間どものところへ・・・。」
と呼ばれた少女は美女の着る袴を力いっぱい握り締めている。
「なに、この俺様、天狐空幻様を守りとして祭り上げようってんだ。悪いようにはしてこないだろう。大丈夫だ。」
「でも・・・。」
空幻と言った美女はの頭を優しくなでる。
「お前も、もっと修行して早く人界へ渡る許可がもらえるようになれ。そして俺に会いに来い。」
「・・・!はい!」
空幻はにっこりと微笑むと身を翻し、人界への門へ歩みを進める。
「私!頑張ります!!絶対!会いに参ります!!」
その背中には声を張り上げて叫ぶ。空幻はその声に振り向かずに、ひらひらと手を振って門の中へと消えていった。

それからしばらくして、空幻が封印されたという話をも聞いた。しかし、はまだ人界へ姿を現す許しを与えられていなかった。は悔しさに身を震わせながらも修行を続けた。

そして何百年もがすぎ、やっとは人界へ渡る許可を得た。
空幻の封印もとかれたと聞いた。
は空幻の気配を追った。そして、そこに居たのは人間の中で楽しそうに笑う空幻の姿。
「姉さま・・・。」
―人間の都合で祭り上げられ、そして封印され、また人間の都合で封印をとかれたというのに、人間の中であんなに楽しそうに笑っている・・・。―
は人間に復讐しようとしていた自分を恥じた。
「私は・・・姉さまの前に姿を見せる資格はございません・・・。」
そう呟いて姿を消そうとしたそのとき、
!」
ガバ!
「うひゃぁ!」
後ろから抱きつかれた。
じゃないか。久しぶりだな!!」
「空幻姉さま!」
は驚いて振り向く。
「どうした?おまえもやっと許可を貰ったんだな。俺に会いに来たんだろう。何でそんなところに隠れているんだ?」
は申し訳なさそうにうつむく。
「私は、姉さまに顔向けする資格なんてないのです。私は人間に復讐しようとしていました。自分たちの都合で姉さまをいいように使う人間どもに・・・。でも・・・姉さまが楽しそうにしてらっしゃるのを見て・・・自分が恥ずかしくて・・・。」
たんたんと言うに空幻はぷっと噴出す。
「かっかっか!俺様がそんなちっさいことを気にすると思うか?!確かに最初は少々むかついたがな。今はそんなこと気にしてないぞ!お前も気にするな!!」
そう言って空幻はの肩をばしばしと叩く。
「おーい!クー!何やってんだー!!」
少しはなれたところから昇が呼ぶ声がする。
「ちょっと待て!そうだ!お前に俺が今守りをしている兄弟を紹介してやる!来い!」
「あ!姉さま!!」
あわてるを無視して空幻はの腕をぐんぐんと引っ張っていく。
そんな空幻にはいつの間にか笑みをこぼす。
「ほら!早く来い!」
「はい!」
は空幻のあとを、銀の髪を揺らして満面の笑みで追っていった。

超突発(苦笑)。
back