もう、見失ったりはしない
―ほら和麻、泣かないの―
―でも、俺、―
―炎術師じゃなくて和麻は和麻でしょ―
―強くなろう、和麻。そしたら、―
「…ま、和麻。…和麻!」
「ん?あぁ綾乃か。どうした。便所か?」
「アホか!全く、急に黙り込むからどうしたのかと思ったのに。心配して損したわ。」
綾乃に怒鳴られて意識が遠いところに飛んでいたことに気付いた和麻は自嘲の笑みを浮かべる。
あいつは、あの人はここにはいないのに、
「それよりもこの辺りよね。…なんか気配は?」
「…んー…あると言えば…っ!」
「炎術師の炎!?ってっちょと和麻!?」
何かに驚いたような表情をすると綾乃を置いて風に乗って炎の上がった方向へ一人で飛んで行ってしまった和麻に例のごとく綾乃は暴言を叫んでいた。
和麻がその場に到着した時には既に炎は治まっていた。そしてそこには和麻より少し年上らしき女性が黒い長い髪を揺らして満足そうに微笑んでいた。
「……?」
小さく、風に掻き消えてしまいそうな声で呟いた名前に、女性が振り返る。そしてその姿を確認すると、
「!」
「わ!」
いきなり飛びつかれてと呼ばれた女性は驚きはしたものの何とか体制を維持。さすが。伊達に鍛えてはいない。
「え?え?…もしかして…和麻?」
「もしかしなくても和麻だ!今までどこにいたんだ!」
キャラ崩壊と言うことなかれ。超珍しくあの和麻が泣きそうである。綾乃が見たら確実に固まる。
「え…いや…うん…まぁいろいろありまして…。和麻こそ。家出してたんだって聞いたんだけど?」
「………………それはそれ。これはこれだ。」
ごまかした。
「それにしてもかっこよくなったね、和麻。見違えた。」
「じゃぁ結婚しよう。」
「「
は?
」」
急いで追いかけてきた綾乃との声がきれいにはもった。
「か、和麻!何あんたナンパしてんのよ!?」
「ナンパじゃない。約束したんだ。」
「………………………………………あぁ…そういえばしたわね。そんな約束。」
「な?」
を抱きしめたままいつものあくどい笑み(超失礼)を浮かべる和麻とちょっと遠い目をしている。綾乃はすでに話についていけていない。
「というわけで、綾乃。今日の仕事は終了だ。宗主に挨拶に行くぞ。」
「へ?なんで?」
「も炎術師だ。結婚するんだから挨拶くらいはしないとな。」
「あ、そこ決定なんだ。」
「っていうか和麻にそんな常識があったことに私はびっくりよ。」
いろいろすっ飛ばしてるとか突っ込みは禁止だ。
もう、見失ったりはしない
スライディング土下座ぁあああああ!
二十五万企画参加ありがとうございます!「風の聖痕・和麻夢(設定そのたもろもろ)」というリクだったんですが…あれー?
なんか間違った方向に走りました!シリアスにしようとしてギャグに走った通常運行!orz三
お持ち帰りその他もろもろはno name様のみ有効です!
タイトルは
rewrite
様よりお借りしました。
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