Der Wachhund der Rose act16
「あらぁ・・・なぁに?真紅。パーティーの始まりぃ?」
「いいえ水銀燈。始まるのはゲームよ。」
「お馬鹿さんがお馬鹿さん達引き連れちゃって・・・たぁーいへん。」
くすくすと楽しそうに笑う水銀燈。
「そちらは珍しい組み合わせだこと。」
「お久しぶりですわ。水銀燈お義姉様。」
さらにそれに真紅が少々棘のある言葉で返し、がニッコリと応える。
「(うー・・・やっぱり水銀燈おっかないよォ。)」
「(の・・・呪い人形大終結・・・?)」
とか何とか雛苺とジュンが考えていたとかは置いておいて。
「そ・・・蒼・・・蒼星石・・・!」
「来るな翠星石!」
翠星石と蒼星石が向き合う。
「僕らはもはやマスターを違えた。ローザミスティカを奪い合う敵同士だ。」
「・・・そ・・・そう・・・せ・・・。」
鋏を向ける蒼星石に翠星石は驚きと悲しみの表情を浮かべる。
「何だアレ?シザーマンかよ・・・タチわりー。」
「二人ともケンカしてるの。」
「ケンカ・・・というかもはや一方的ですけどね。」
ジュンの感想に雛苺が答え、が微妙な突込みを入れる。
「ぷっ!きゃははッ!姉妹の仲で一番の仲良しだったのにあっけなぁいおっかしーv教えてあげなさいよ蒼星石ィ・・・アナタの目的・・・。」
その様子に水銀燈が大笑いする。
「この子はねぇ、私とおんなじ望みがあるの。だから仲良しになったのよ。ある人間を殺してしまいたいんですって。」
「何・・・。」
「随分と物騒な話ね。」
「そうですわね。ローゼン様は薔薇乙女<ローゼンメイデン>であるお義姉様たちを、人間を傷つけたり不幸にするためにお創りになられたのではないわ。」
「なの。」
水銀燈の言葉を真紅たちが否定する。
「そんな壊れた子<ジャンク>は貴女だけのハズよ、水銀燈。」
「・・・言ったわね。」
壊れた子<ジャンク>―その言葉に水銀燈はものすごい勢いで反応する。
「確かに。今の話は正しくはない。」
蒼星石が口を開く。
「正確には僕のマスターがある人間の死を望んでいる。僕はそれに従い、命を刈る。それだけ。」
「うそです!嘘ですよッ!し・・・真紅待ってくださいッ!あの子は・・・操られているです!悪い人間と・・・水銀燈に・・・違うので・・・、」
ヒュ ザッ
蒼星石の鋏が真紅と翠星石を襲う。
「真紅・・・!!」
「蒼星石ィ!」
ジュンと雛苺が悲鳴を上げる中、はその様子を冷静な目で見つめる。―見守る者、薔薇審判<ローゼンシート>として―
「嘘も馴れ合いも僕は好きじゃない。邪魔をされる事も。あとは・・・この庭師の鋏でお相手しよう。」
蒼星石が・・・無表情に鋏を向けてくる。