Der Wachhund der Rose act19
「真紅ッ!」
「真紅お義姉様・・・!」
「あははははッ!ねぇ痛い?痛いわよね?なんて不恰好なの真紅ゥ・・・あははははは!」
ジュンの叫び、の悲鳴、そして水銀燈の残酷な笑い声。
「ぬるい仲間ごっこなんてしてるからこうなるのよ。アリスに孵化できるのはただひとりなのに。」
ゴオッ
「きゃっ!」
「!?」
「い!」
「まとめて叩きつぶさなきゃ・・・どいつもこいつも邪魔なんだもの。」
真紅の腕に指を絡めて残酷に微笑む。
「なんで蒼星石まで・・・ぐ・・・ぐるぢ・・・。」
黒い羽根にギリギリと締め付けられ、雛苺が呻く。
「おばかさぁん。言ったじゃない・・・結局はみんなひとりぼっちなの。どうせ私達薔薇乙女<ローゼンメイデン>はいつか闘い、ローザ・ミスティカを奪い合う中なのよ。私が誰かと手を組むなんてする訳ないじゃない。」
「そんな・・・このままじゃ・・・みんな・・・!」
「私にはどうすることも出来ません・・・。」
結界を張り続け、少々苦痛の表情をする。
「おい・・・おい真紅ッ目を覚ませ!」
結界の中からジュンが叫ぶ。
「・・・げん・・・にんげん・・・ッ!・・・これッ・・・着け・・・誓うですッ・・・!」
翠星石が契約の指輪をジュンに向けて突き出す。
「性悪人形・・・。」
「翠星・・・石・・・力を・・・解放・・・ッはやくッ・・・ジュン・・・!!」
水銀燈の黒い羽根に絡め取られながら翠星石は必死でジュンに指輪を差し出す。そして・・・
カッ パアァァァァァァァ
「!?何・・・?如雨露・・・!?どうして・・・いつの間に!!」
翠星石の手元が光り、如雨露が現われる。
キィィィン
「な・・・なんだ・・・コレ・・・指輪が・・・。」
そしてジュンの契約の指輪が、さらに大きく成長した。
「みん・・・な・・・もう・・・もう・・・ケンカはやめやがれですーッ!!!」
ずおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお
翠星石の如雨露の力で成長した樹によって水銀燈の黒い羽根が打ち破られる。
「ちっ・・・!」
ひゅ
「もう怒ったわ・・・なのよ!!ヒナが絶対こらしめてやるんだから・・・水銀燈!!」
「僕も同感だ。君の片翼も切り落としてあげようか、水銀燈。」
「形勢逆転ですわね。」
後を雛苺と蒼星石に取られ水銀燈の顔色が変わる。
「あ・・・あら・・・?」
そのとき
ピキ ゴゴゴゴゴゴ
「・・・!?なんだ・・・!」
「夢が・・・崩れるです。早く逃げないと・・・!」
「ひゃ!」
「きゃ!」
「ひゃあぁあああああ!」
次の瞬間、ジュンとの足下が崩れ、暗闇へと落ちていった。