Der Wachhund der Rose act21
nのフィールドへ続く鏡の部屋。ジュン・翠星石・・は佇んでいた。
「二人とも、nのフィールドに行かれるのですね。」
「あ、うん。」
「では、いってらっしゃいませ。私達はここで、お帰りをお待ちしております。」
にっこりと、力強い微笑みを向ける。
「うん!行って来ます!」
「行ってくるですぅ!」
「いってらっしゃいませ、翠星石義姉様、ジュン様。」
二人は鏡の中へと消えて行った。
その姿を見送ったとは部屋の隅に置かれていた木箱に腰をかける。
「ねえ、。あなたはジュンのこと、どう思う?」
「どう、とは?」
「あのこは、薔薇乙女<ローゼン・メイデン>たちを幸せに導いてくれるかしら・・・。」
複雑そうな、慈愛に満ちた笑みを浮かべ、に訊ねるようでいて、自分に問いかける。
「私は、お義父様のお創りになられた薔薇乙女<ローゼン・メイデン>達にはね、幸せになってもらいたいの。むしろ、お義父様は、それを望んでいらっしゃったのではないかしら。」
「・・・はい。」
「もちろん、。あなたにも幸せになってもらいたいのよ?」
「え?」
急に話をふられて、驚いたようにのことを見上げるにふふふ、と微笑みかける。
「あなたは私の大切な大切なお人形。いえ、妹のように思っているのよ。」
「・・・マスター。」
を抱き上げて膝の上に乗せ、ぎゅっと抱きしめる。
「私はあなたたちみんなに幸せになっていただきたいの。薔薇乙女<ローゼン・メイデン>達にも、そのマスターたちにもみんな・・・。」
を抱きしめたままいつくしむように微笑み、さらにを抱きしめる。
それはただ力任せに抱きしめるのではなく、大切なものを包み込むように大切に、大切に。
その瞳は我が子を包み込む母のように、見守る父のように。優しく、力強く。
「私は、反対したの。お義父様に、いくらアリスを孵化させるためとはいえ、ご自分がお創りになられた人形<ドール>達を戦わせるなんて・・・。」
「・・・。」
独り言のように呟くの言葉を、は無言で聞く。
「そうしたらお義父様は仰った。『ただ戦い、ローザ・ミスティカを集めるだけがアリスへの道ではないと。それを人形<ドール>達が自分たちで気付かなくてはならないと。だから私は・・・ドスン!あら、帰ってきたみたいね。行きましょう、。」
「はい、マスター。」
はを抱きかかえ、部屋を後にした。