Der Wachhund der Rose act24
次の日。薔薇屋敷に行くことになったたち。
「・・・おいっまだ着かないのかよ!」
「確かもうちょっとよぅ。この坂を上がったところ・・・。」
「結構歩くのですね。」
のりとがほのぼのと会話する中、
「ちょっとジュン、あまり傾けないで頂戴。」
「平行に持つですぅー。平行にぃ。」
「うるさいッ!文句あるなら自分で歩けぇ!」
両腕に真紅と翠星石の入ったバスケットを持ったジュンが吠えていた。ちなみに雛苺の入ったバスケットはのりが、は普通にが抱いている。
「何だって僕がこんな荷物持ちを・・・坂道だから自転車も使えないし・・・。」
ゼーハー
ちょっと息が上がっている。
「ちび人間てばヒキコモリだから体力ないですぅ。」
「・・・おいッ今僕に禁句を言ったなお前!」
ジュンは翠星石の入ったバスケットを思いっきり揺らして抗議する。
「やーん、揺らすなですぅ!」
「ヒキコモリって言うな!」
「ジュン、あんまり虐めないであげてくださいね。」
がくすくすと笑うと雛苺がバスケットから顔を出して
「ジュンははかないのよー。」
「僕はセミの幼虫か・・・!」
いろいろと突っ込みどころ満載だ。
そんなこんなをしつつようやくたどり着いた大きな薔薇園に囲まれた洋館。
「着いたぞ・・・ここだ、薔薇屋敷・・・!!」
屋敷の敷地へ足を進める。そして、
「おかしいな、誰も出ないぞ。」
「ジュン君・・・やっぱりお姉ちゃんも一緒に・・・、」
「のり、マスターでないあなたが来てもどうにもなりませんよ。」
やんわりとに窘められてのりは心配そうな顔をしながら引き下がる。
「じゃあみんな、お夕飯までにちゃんと帰ってくるのよぅ。」
「わかったから早く行けっての。」
ジュンがのりを追い返した次の瞬間。
ギィィィィ・・・
一行を迎え入れるように、扉がひとりでに開いた。