わかっていたのに虜になった

マフィア関係者の子息が多く集まる学校の裏庭の一角。そこでキャバッローネファミリー十代目ボスであるディーノは木にもたれてたそがれていた。利湯は簡単だ。今日はディーノの誕生日。同盟ファミリーやその関係者が大勢集まるパーティが有る。ぶっちゃけ
それがめんどくさい。十代目になったばかりのディーノに自分の娘を気に入らせようと近寄ってくる古狸ども多数。それを適当にあしらうのも憂鬱である。
「・・・逃げたい・・・。」
十中八九逃げたらあとでリボーンの制裁が待っているだろう。それだけは嫌だ。
「・・・はぁ。」
「溜息つくと幸せが逃げるんだよ。」
「うわぁ!」
文字通り飛び上がった。心臓が面白いくらいにバクバク言ってる。
「・・・そんなお化けでも見たような驚き方しないでよ。つか、仮にもマフィアのボスが気配くらい気付けっての。」
むー、とむくれるディーノのクラスメイトの
「・・・悪かったな・・・。」
ようやく落ち着いてそう言って睨みつけてもさっきの驚き方を見たあとだと怖くもなんとも無い。
「まったく。せっかくの誕生日なんだからスマイルスマイル。プレゼントだってたくさん貰ってんでしょーに。」
おもむろにディーノの頬を掴んでむにーと引っ張る。
「ば!は・・・はなふぇ・・・!」
「あはは!変な顔ー!」
ぴんっ!と思いっきり手を離されて赤くなった頬をさするディーノは涙目だ。
「・・・そーいやは今日のパーティ来るのか?」
「あはは、へ?行かないよ?なんで?」
何をそんなに分かりきったことを聞くんだという顔で首をかしげるに悪気は無い。
「うちなんか新参中小ファミリーがキャバッローネファミリーなんて大ファミリーのパーティにいけるわけが無いでしょ。」
「・・・そんなの関係ねぇのに。」
「え?なに?ディーノってばあたしに来て欲しかった?」
にィとチェシャ猫のように笑えばディーノの顔が真っ赤になる。
「ふふ、じょーだんだよ。」
そう言って一歩下るとの距離がなんだかもどかしくなって思わず手を伸ばす。
それに気付かないふりをしては微笑う。
「まぁ、せっかくの誕生日だからね。プレゼントくらいは用意してあげたのだ。Buon compleanno!」
はい!とどこから取り出したのか綺麗にラッピングされた包みを差し出す。それを見計らったかのように昼休み終了の予鈴が鳴る。
「あ、授業始まる。ほら、教室戻るよー。」
「あ、おい!」
に手を引かれて慌てるディーノだったが、その顔はとても嬉しそうだった。

(ボス、なんだか嬉しそうですね)(へへ、そうか?)(・・・へなちょこが)

わかっていたのに虜になった
遅くなったけどディーノさんお誕生日おめでとう!
ネタだけは速攻で浮かぶのになかなか文章にならなかった・・・!

タイトルは確かに恋だった様よりお借りしました。
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