the blue vault of heaven and mother earth ヴァリアー編 act9
次の日。俺もツナたちの修行を観に行ってついでに俺もちょっと修行しようかなー・・・とか思って差し入れのお菓子作っていたら、
「シシシ。やっほー姫ーvv遊びに来たよーv」
「やぁ。」
いろいろと突っ込みどころ満載だけどとりあえず。
「・・・・・・・・・・・・来るんだったら玄関から来ようよ。あと靴は脱いでよね。」
「突っ込むところはそこなんだ。」
「だってあんたらにいちいち正論ぶつけてたらきりが無いでしょう?」
「シシシ。分かってんじゃん。」
一番の常識人はマーモンなのかなとか思いつつ。二人はちゃんと靴を脱いで部屋に入ってくる。っていうかここマンションの十階なんだけどなぁ・・・。まぁこの人たちに言っても仕方ないか。
さっさとリビングのソファーどっかりと腰を下ろすベルフェゴールとマーモンに紅茶(商店街に専門店が在ったからそこで買った)を出しているとちょうど差し入れ用にと焼いていたお菓子(マドレーヌ)が焼きあがった音がした。
「ねーねー姫ー、いー匂いがするー。」
「マドレーヌ焼きあがったんだけど、食べる?っていうか姫ってなにさ姫って。」
こんながさつな姫いてたまるか。
「食べる食べるー!マーモンも食べるよな、せっかく姫が俺達のために作ってくれたんだから。」
「別にあんたたちのためじゃないけどね。だから姫って呼ぶな。俺は。昨日も名乗っただろうが。」
記憶力無いのかよこいつは。
聞いてるのか聞いてないのか分からない文句を言いつつ焼きあがったマドレーヌをオーブンから出して型からはずす。お皿に入れて二人の前に出せば、マーモンは両手で持ってもしゃもしゃとマドレーヌを食べている。
「・・・・・・かーわいいーなーちくしょー・・・。」
ぼそりと呟いてみると、ちょっと聞こえたらしく、マーモンがこちらを見てコテン、と首をかしげた。
くっ・・・!は・・・反則・・・!ちょっと萌えた・・・!
しばらく自分の中でマーモンを抱きしめたい衝動と格闘して(え)落ち着くと二人の前に座る。
「んで、あんたらはマジで何をしに来たのー?」
「だから遊びに来た。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・まーじーでー?」
っていうかこいつらの”遊び”が普通の”遊び”じゃないだろうな・・・とか思うのは俺だけじゃないはずだ。うん。俺は間違ってない。
「ベル、とりあえず自己紹介からだよ。はちゃんと名乗ったんだ。僕たちもちゃんと名乗らなきゃ。僕はマーモン。ヴァリアーのボス、ザンザスの霧の守護者。」
そう言ってマーモンは名乗る。
「シシシ。そーだねー姫は王子と一緒にお仕事することになるんだもんねー自己紹介は大事だよねー。俺はベルフェゴール。嵐だよ。」
・・・・・・・・・なんか余計なこと聞こえた気がするんですが気のせいですよね?うん。スルーしておこう。そうしないと俺の精神力が持たない。
「ご丁寧にどーも。マーモンはちゃんと俺の名前覚えてくれてるみたいだね。昨日も名乗ったけど俺は。幻の大地の守護者らしいよ。」
なんかのほほんとした空気が流れている。つーかマジでこいつら何しに来たよ。本当。
「嵐って事はベルフェゴール「ベルでいいよ。」ベル今日試合でしょ?こんなところで油売ってていいの?」
まーそれが原因で負けましたーとか言ったらこいつはザンザスにぶちのめされるんだろうけどね。
「シシシ。姫心配してくれるんだーv王子うれしーv」
「心配なんかしてねぇよ。っていうか姫言うな。」
うっわぁもう、姫って言われるたびに鳥肌物凄いんだけど!
「ベル・・・あんまりからかわないほうがいいよ。については僕の粘写でも分からない事だらけなんだから。」
「あら、そーなんだ。」
異世界から飛ばされたって言うのが原因かな?まだそんなに日立ってないのになんかその感覚薄れてきているよう(苦笑)。
「今日は挨拶をしに来ただけだよ。ボスはどうでもいいって感じだったし(内心気になってしょうがない感じだったけど)、スクアーロはめんどくさいって言うし(とか言いつつ行みたそうにしてたよね)、レヴィは問題外だからね。ほら、挨拶も終わったし、そろそろ帰らないとボスがお怒りだよ。」
・・・仲間に対しても容赦無いなぁ(苦笑)。っていうか副音声が聞こえた気がしたのは・・・うん。スルーしよう。俺の精神安定の為に。とか思いつつマーモンの言葉に同意してしまう自分ちょっと自重(爆)。
マーモンにせかされてベルが立ち上がるとマーモンはぽすんとその腕の中に納まる。
「シシシ。じゃーねー姫ーvv今日の対戦王子絶対勝つから応援してねーvv」
「しねーよばーか。」
そう言って玄関まで見送り(帰りは玄関から帰らる)ベルがドアを開けようとしたとき。
「あ、そうだーー。」
「ようやく名前覚えたっ!」
名前を呼ばれて振り向いた瞬間、唇にやわらかい感触。フリーズすることたっぷり十秒。
「・・・っ!何しやがる!」
「シシシ。姫は王子のだからねーvv他のに取られないように唾付けとこうと思って。」
「死にさらせー!」
怒鳴り声と同時に腰のウエストポーチから苦無を取り出して投げつけるけど、既に二人はドアの外。ナイフは玄関の扉に深々と刺さっただけ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まだ時間ある。」
扉に刺さったナイフを引き抜いて俺はツナたちが修行している山に向かった。
そのツナとバジルがハイパーモードでスパークリングをしている隣で、俺はストレス発散のごとく木々をなぎ倒していた(止めなさい)。
それを何事かと唖然と見つめる三対の目が合ったのは・・・気付かなかったふりをしておこう。