the blue vault of heaven and mother earth ヴァリアー編 act29
「十代目!」
「ツナ!」
「ボス!」
校庭に戻ってくると、既にツナがゼロ地点突破で凍らせたザンザスをマーモンが復活させ、ベルが大空のリングをザンザスにはめるところだった。
そして、
「ふははははあ!力だ!とめどなく力が溢れやがる!」
リングの力に酔いしれ、高笑いするザンザスを、俺達は唖然と見つめるしか出来ない。
「これが、ボンゴレ後継者の証・・・、ついに、ついに叶ったぞ!これで俺はボンゴレの十代目に・・・!」
そこまで言って、ザンザスは急に苦しみだす。
「(リングが、拒絶した)。」
ボンゴレの血を引かないザンザスをリングが拒んだ。ザンザスはその場に倒れる。それに俺以外は驚きを隠せないといった表情でその光景を見つめる。
「さぞかし・・・いい気味だろうな・・・、そうだ・・・俺と・・・九代目は・・・本当の親子なんかじゃねぇ!」
ザンザスの叫び。その叫びに平然としていられるものなどいない。
そしてスクアーロの口から語られるザンザスの過去。ザンザスの手から大空のリングが滑り落ちる。
「ザンザス様、あなたにリングが適正か、協議する必要があります。」
「だ、黙れ・・・かなわねぇならかなえるまで!邪魔する奴は消し去ってやる!」
「ザ、ザンザス様!」
そんなザンザスにチェルベッロが声を掛けても、ザンザスの十代目ボスへの執着はすさまじく、チェルベッロの言葉を跳ね除け、それにベルとマーモンまで同調する。
ザッ!
でも、俺達だって黙ってはいない。誰が合図をすることも無く、いっせいにツナの元へ自分達の得物を手に駆け出す。最初に攻撃を放ったのは獄寺。爆風があたりを包み、その中から獄寺の声が響く。
「どこまで腐ってやがる。やらせるかよ。」
「シシ。どいつも死に損ないじゃん。・・・ん。」
「やっと・・・決着がつけられる・・・。」
そんな中に、まだふらつきが取れないながらもしっかりと歩みを進める雲雀さんの姿。・・・執念すげぇ・・・。
「傷だらけのみで何言ってんだか。」
うん。でもね、手負いの獣って一番やっかいなんだよ。とは心の中で思うだけにしておこうと思う。自分の身のためにも。
「ねぇ、。なんか今物凄く失礼なこと考えなかった?」
「滅相もございません!」
っていうかいきなり名前呼びな上に呼び捨てですか!?わーもう、いろいろと突っ込みてぇ・・・!
「シシシ。こりゃ、100%間違いなし。お前らあの世行きだな。」
そんなこっちの空気完全スルーで(まぁ、空気読まれても微妙だけど)、ベルは楽しそうにいつものナイフを構えている。
「てめぇ、見えてねぇのか。二対六だぜ。分が悪いのはそっちだぜ。」
「二対六?何のことだい。君たちの相手は、この何十倍もの戦力だ。」
マーモンの不吉な言葉にこちら側の表情が固まる。
「・・・あんた達・・・卑怯だよ・・・。」
「それが僕らヴァリアーさ。総勢五十名の、生え抜きのヴァリアー隊が、まもなく此処に到着するのさ。」
マーモンはそれが死刑宣告のようにたんたんと、事務的な口調で語る。ザンザスが、このリング戦後、この件にかかわったものを、全て、抹殺するための要因を、読んでいたことを。
そしてそれが、自分達守護者候補だけでなく、ツナに関係する人物全員だということに気付く。
さらには止めようとするチェルベッロにベルが攻撃、観覧席の赤外線はマーモンによって細工され、リボーンたちは出ることが出来ない。
でも、
「(来た)。」
「豪蛇烈波!」
目の前に現れたヴァリアー隊を、その声と共に鉄球が一掃した。