天使の子守唄 禍つ鎖を解き放てact3

大蛇を倒し、は〜と一息つく。
「やった!」
「次は式神と姫の力を借りずに倒せよな!」
「そーだそーだ、じりじり前進!」
「頑張れよ、孫!
「孫言うな!」
さっきまで後に下がっていた雑鬼たちがワラワラと戻ってくる。さらに『孫』の大合唱。
「・・・ん?」
それをほのぼのと眺めていると空から何かが降ってくるのを感じた。
それが大蛇の鱗の破片だということに気付くと同時に俺は翼を広げて破片を防ぐ。
昌浩のほうを見れば、こちらは六合が長布で防いでいた。
降り注いできた破片が止むと六合は隠形した。
俺は昌浩に近寄り、頭に残った破片を払ってやる。
「あ、ありがとう。」
「いえいえ。」
俺は昌浩の頭の破片を払いながら、その頭についていた鱗の破片とは違う、別の欠片を一つ、昌浩に気付かれないように握ると、騰蛇と黒耀に目配せする。
「・・・随分と、呆気ない。」
「うん、なんだか・・・。」
釈然としないといった表情をする昌浩を清明様たちは真剣な眼差しで見詰める。そして、清明様は昌浩の背中をぽんと叩くと、
「ほれ、夜警をつづけるんだろう?こんなところで時間を潰してしまっていいのか?」
「いや、別に時間を潰したくて潰しているわけでは。」
「問答無用だ。」
「・・・はぁ。」
清明様のデコピン攻撃(笑)。そんなに強くもないはずなのにちょっとよろける昌浩に萌!とか思ってしまったのはナイショで(笑)。
昌浩はむーっと腑に落ちないという顔をしてもっくんに戻った騰蛇を連れて夜警に戻る。
「さー、お前らー。そろそろもどんなさーい!」
「じゃあな姫、清明様、まったなぁ!」
俺の号令と共に雑鬼たちはおーと返事をして、散って行く。
それを見届けると俺は昌浩に気付かれないようににこっと笑い、清明様にさっき握った欠片を渡した。
清明様は真剣な眼差しでそれを受け取った。
ー!スサノオ様ー!行きますよー?」
「あ、ごめんごめん!今行くー!」
くるりと踵を返し、一瞬で黒猫の姿に変化したスサノオ尊基黒耀基すーちゃん(ややこしいなぁ)を肩に乗せ、昌浩の後を追いかける。
一瞬だけ、真剣な顔で清明様のほうを振り向けば、しっかりと頷き返してくれる。俺も、応えるように頷き返し、立ち止まって俺たちを待っている昌浩のところへと駆け出す。
大丈夫。清明様も気付いてた。アレの始末は、ちゃんとしてくれる。
そう、俺は心の中で呟いた。
いろいろめちゃくちゃでごめんなさい・・・!
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