天使の子守唄 禍つ鎖を解き放てact6

次の日。陰陽寮から帰ってきた昌浩はなんだか元気がなかった。出迎えの彰子様にもほとんど反応しなかった。何も喋ろうとしないでそのまま部屋へ直行。文台に突っ伏してしまった。
もちろん、心配になって彰子様はそのあとを追う。俺も後を追い、文台に突っ伏す昌浩と、もっくん、そして心配そうにそれを見る彰子様を見詰める。
「・・・・・・ちょっとな。落ち込んでるだけだ、あまり気にするな。」
「どうして?」
本当に心配そうな彰子様の姿を見て、俺は彰子様に任せておけば大丈夫だと判断し、すーちゃんと共に静かにその場を離れる。
「いいのか?ほっといて。」
「うん。彰子様がいれば大丈夫だよ。あの二人、本人たちは気付いてないけどらぶらぶだもんv」
俺は隣を歩くすーちゃんににっと笑いかけながら庭に降りる。
「・・・なにしてんだ?」
「んー、屋根にでも上ってみようかと・・・。」
「・・・なんとかと煙は高いところがすきって言うからなー。」
「どうとでも言えー。」
裏手に回り、よっという掛け声と共に屋根に飛び上がる。
「んー、気持いいなーvv」
「・・・。」
「なんか文句あっかー。」
「ねーよ。」
人のこと貶しながらもしっかり付いてきてくれるすーちゃんはいい人(神?)だと思う。俺に付いて来てくれたのがすーちゃんでよかったとつくづく思うよ。うん。
「ふー・・・・・・♪〜〜♪」
「?」
隣ですーちゃんが首をかしげるけどにっと笑って目配せするだけで、俺は歌うのをやめない。だってこんなに気持いいんだもん。歌いたくもなるよ。
「♪〜♪〜♪〜・・・っと。」
歌い終わってぽきぽきと肩を鳴らしてふっと視線を感じて隣を見ると、
「げ・・・青龍・・・。」
十二神将が一人、青龍さんがこちらを睨んでおりましたー。だから怖いですー(泣)。
「えーと・・・そろそろ昌浩は復活したかなー・・・?・・・それじゃー・・・お邪魔しましたー!」
「待て。」
「ふえ?!みぎゃぁ!」
「!」
物凄くこっちを睨んでくるもんだから居心地悪くなって慌てて回れ右で屋根から下りようとしたら青龍に呼び止められて驚いて振り向いたら足を滑らせた。
「・・・大丈夫か?」
某テニス漫画の部長のごとく眉間の皺がデフォルトな青龍(笑)にすんでのところで腕を掴まれて助かった・・・けど!やっぱり睨んでるよー(泣)。ちくしょー!夕日の馬鹿やろー!←理不尽な八つ当たり
「・・・おい。」
「あ・・・ハイ、アリガトウゴザイマス。」
う・・・腕を放してください・・・!
腕をつかまれたまま至近距離で睨まれると本当に怖いんです・・・!別に俺は青龍のことは嫌いじゃないですよ?!嫌いじゃないですけどー!・・・あっちが嫌ってるみたいんだもん!!俺は仲良くしたいんだけどなぁ(半泣)。
「・・・お前・・・。」
「はいぃぃいぃ!?」
「いい・・・歌声だな。」
「・・・はぃぃい?」
・・・。言われたことを頭が処理するのを拒否してる。っていうか処理できない。
「・・・あ・・・ありがとうございます・・・そ・・・そろそろ昌浩のとこ行くんで・・・。」
「あぁ。・・・気をつけろよ。」
「はい、失礼します・・・。」
腕を放してもらってぺこっとお辞儀をして屋根から飛び降りる。
ちらっと屋根の上を振り返ってみれば、青龍はまだこっちを見てる。
「・・・ねぇすーちゃん・・・。」
「なんだ。」
「俺・・・褒められたの?」
「だな。」
「ついでに心配された?」
「そーだな。」
「俺、嫌われてると思ってたんだけどなぁ・・・。」
昌浩の部屋に向いながら隣を歩くすーちゃんに訊ねてみれば、肯定の答え。
嫌われてないっていうのは嬉しいけど・・・睨まれるのは怖いなぁ(苦笑)。
あはは。と苦笑しながら部屋に戻れば部屋まで声が届いていたようで。
昌浩と彰子様に騰蛇。さらに部屋に押しかけてきた太陰(+玄武←太陰に連行された)にまた歌ってくれとせがまれた。
青龍好きです(笑)。
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