天使の子守唄 禍つ鎖を解き放てact11
邸の入口でばたばたという足音が聞こえた。
「・・・あ。」
「あれ?・・・昌浩帰ってきた?」
「・・・えぇ(苦笑)。」
脱ぎ散らかされた沓を丁寧に揃えながら苦笑する彰子を見て俺も苦笑する。
それが済んだのを確認すると彰子と一緒に昌浩の部屋へ向った。
廊下を歩いている途中で、帰ってきたすーちゃんとも合流した。
「昌浩?」
「おっじゃましまーす・・・。」
俺と彰子が部屋に入ると、ぐっとタイミング的な感じでちょうど昌浩が投げた烏帽子をジャンプしたもっくんが空中キャッチして一回転。オリンピック選手並の見事な着地を披露してどうだ、といわんばかりに胸をはっていた。うん。お見事。これがあの凶将騰蛇だとは思えないね☆
「おー彰子、、今のどうよ。様になってただろ。」
「凄い凄い。」
「もっくん、本当に身軽ねぇ。」
本当に関心しながら、腕を組んでいると、後に気配を感じた。・・・六合か。なんか複雑そうだなぁ・・・(苦笑)。
そんな事を考えてるうちに昌浩は着替えを済ませてこちらを振り向いた。
「わっ!」
今気付いたんかい。
「お帰りなさい。」
「おかえりー。」
声をかければ慌てて脱ぎ散らかした直衣を拾おうとするけどさっさと彰子に取上げられてしまった。
「露樹様言ってたよー。昌浩は衣をたたむのが下手で、いっつもしわしわになるんだって。」
「えっ、母上そんなことをっ!」
「確かに確かに。彰子に任せるのが賢明だ。」
もっくんにも言われてしまえば昌浩は黙るしかない。諦め顔で部屋の隅に置いてあった占いの道具(六壬式盤)を用意している。俺は彰子の隣に座って、すーちゃんを膝の上に乗せる。
「今日ね、市に行ったのよ。」
ごとんっ
「・・・ごとん?」
振り向けば、昌浩が何かを持っていました、な体勢で硬直中なのが目に入った。