天使の子守唄 禍つ鎖を解き放てact19

みんな頑張ってる。俺はちまちまと消していくだけ。それでも次から次に襲い掛かってくる恨鬼に、払いきれない。どうすれば・・・そうだ!
「すーちゃん!!」
「すーちゃん言うな!」
「今はそんなことおいといて!ねぇ!俺ってさ、”魔法”は使える?!」
「”魔法”?」
そう、魔法。天照様と月読様がくださったこのありえな設定な力。好きな武器が具現化できるんだったら、魔法が使えてもおかしくない・・・!
「・・・多分・・・使えるぜ・・・姉上は某四人組漫画家グループのファンだかならぁ・・・。お前の”心”次第だろ。」
「よし!」
俺が考えてることが分かったのだろう。ちょっと遠い目をしつつ、すーちゃん(基黒耀)は一瞬こっちを振り向き、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
”心”。俺の”心”しだいで。だったら・・・!
「”守りの風!”」
天一の張る結界だけではもたない。昌浩だけじゃない。騰蛇も、天一も、黒耀も。みんな守らなきゃ!
みんなが驚く中、俺が右手を上げると風が集まる。風は、俺たちの回りを囲み、防壁となる。
?!」
「説明は後!!早くあれどうにかする!」
「う、うん!」
さすがに俺も長くは持たせられない・・・!早く・・・昌浩!
「オンクロダヤウンジャクソワカ!」
後で、昌浩の声が響いた。昌浩の手から放たれた何かが結界を作る。
「邪気祓いの桃ですか・・・。」
恨鬼が中に入ってこれないことを確認すると、風の防壁を解く。
「桃・・・そんな力があるんだぁ。」
「まったく、お前、彰子には頭が上がらんな。」
「・・・そうかも。」
俺が感心し、騰蛇が面白そうに言う。
出せ、出せ、出せ、出せ、出せ、出せ―――
怨霊が呻く。
行成を殺す。同じ思いを味あわせる。そのために力を借りた。そのために黄泉還った。
「力を借りた・・・?」
「誰かがお前を黄泉還らせたっての・・・?!」
怨念の風が、渦巻く。
「この手は我が手にあらず・・・」
結界を突き破ってきた恨鬼の爪が神呪を詠唱する昌浩に襲い掛かる。頬に、赤い筋が浮かぶ。直に騰蛇と天一の神気で速攻消去。
「全ては高天原におわす神の手・・・」
魔方陣が昌浩の神呪にあわせて光りだす。
布都之御霊、十握剣、無上行神!天地玄妙、急々如律令――――――!
昌浩が、刀印を振り下ろした。
某つけなくてもバレバレ(爆)。
back